α様は毒甘な恋がしたい


「まだ美心からもらってないよ。さっきの返事」


 えっ? 


「美心の左手の薬指、一生俺だけが独占してもいい?」


「……っ、はい……お願いします!」

「なんで敬語なの?」

「だって……嬉しくて……」

「フフフ、泣いてる美心もほんと可愛い」



 私だけを見つめて、幸せそうに微笑まないで。

 私の中に芽吹く喜びの感情だって、涙腺を刺激しちゃうんだから。

 もっと涙が作られちゃうんだから。



「俺だけの宝物という証、美心の首に刻ませて」



 とろけるような甘い彼の声に、私の脳がドロドロと溶かされていく。

 私自身で長い髪を片方に流し、差し出したうなじ。

 戒璃くんは優しくキスを落とすと、私に首に歯を押し当てた。



 ずっとこの痛みを、私は待ち続けていたの。

 私の首に戒璃くんの噛み跡が再び刻まれることを、願い続けていたの。



「美心大丈夫? 痛くなかった?」

「うん」


 大丈夫に決まっているよ。



 だってこの痛みこそが

 オメガの私に快楽を与えてくれる

 最高級の恋毒なのだから。





 【α様は毒甘な恋がしたい】

    KAIRI♡MIKO

    HAPPYEND

    2024・4・1

    甘沼 恋 (ぬまこ)



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