α様は毒甘な恋がしたい

 雷斗さんの本心が知りたくて、視線を彼と交えてみる。



 こんなに優しく瞳を揺らす人なんだ。



 やっと決めることがきた、自分の心の中をさらけ出す覚悟。

 ごくりと唾をのみこみ、私はギュっとスカートを握りしめる。



 「本当は苦しかったんです。2年半前、戒璃くんにやっぱり(つがい)になれないって言われたこと……」




 涙のしずくと一緒にこぼれた、私の本音。

 心の痛みとともに、ギューッと絞り出された一滴だったけれど



「素直なとこ、かわいいじゃん」


 真横に座る雷斗さんが


「この俺様が、美心を(つがい)の呪縛から解放しやるからな」


 お兄さんみたいに優しく微笑みながら、私の涙を指でぬぐいさってくれたから



 彼の手のぬくもりに、優しさが溶け込んでいるように思えた私は


 「……お願いします」


 素直に頷いてしまいました。







 *






 そしてこの時の私は、全く想像していませんでした。


 雷斗さんに心を許してしまった私の行動が、戒璃くんを苦しめることになるなんて。











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