つれない男女のウラの顔
「成瀬くん、そろそろ彼女との関係を教えてくれてもいいんじゃないかい?」
「……」
さすがに眠い。彼女と別れたあと、体は疲れているはずなのになかなか寝付けなかった。結局二時間睡眠で出社したため、ずっと睡魔に襲われている。気を抜けば意識を失いそうだ。
「成瀬ぇ聞いてるかー?あ、もしかして俺の嫁の話が聞きたい?いいぞ、いくらでも聞かせてやるぜ」
「……」
「おい無視?相変わらず塩対応だな。そんな無愛想じゃモテないぞー。お隣さんにも嫌われちゃうぞー」
「……うるさい」
昼休憩中、誰もいない休憩スペースで仮眠を取ろうとしたのに、さっきから賑やかな男が邪魔してきて不快だ。石田の件はこいつのお陰で助かったが、疲れている時はなるべく関わりたくない。嫁自慢はもう飽きた。
「無愛想、塩対応、感情が死んでる奴を好きになる子なんているか?俺みたいに優しい男になれ?でないと石田にとられ…」
「うるさいって言ってるだろ」
息付く暇もなく喋り続ける二輪の口に、他部署のおばちゃん社員から貰った饅頭を突っ込んでやった。
口の中の水分を失い「フゴフゴ」と変な声を出している二輪を一瞥してから、再び目を閉じる。
「なぁ、やっぱその子のこと好きなんだろ」
「……」
「素直になんねえと、すぐ他の男にとられるぞー」
あー、本気でうるさい。
そんなこと、言われなくても分かってる。