つれない男女のウラの顔

彼女を助けてやりたい気持ちはあるが、今回はさすがに断るべきだ。これ以上深入りすると、抜け出せなくなるような気がするから。

それに本気で男に慣れたいのなら、俺なんかよりもっと経験豊富な男を選ぶべきだろう。俺は油断すると赤面するし、女を喜ばせるどころか失望させてきた男だから。

それとも、花梨は両親のためにその男と会う約束をしただけで、そこまで本気で男に慣れようとはしていないとか?“あまり気が乗らない”と零していたし。
だとすれば、練習相手に俺を選ぶのも分かる気がする。

だったらそんなデート断ればいいのに。まぁそこを引き受けてしまうのが、花梨の優しさなんだろうけど。


もし俺がここで断ったら、他の男に頼むのだろうか。石田なら喜んで引き受けそうだ。
…想像したら無理だな。それだけは阻止したい。

というか石田に限らず、花梨が他の男の隣を歩いている姿を想像したくない。
ついでに言えば、その幼なじみと上手くいけばいいなんて言ったのも本心じゃない。花梨がその男に心を開いていることが受け入れられなくて投げやりになってしまった。
ほんと俺ってくそダサいな。


結局俺には、花梨を放っておくことなんて選択肢は初めからなくて。むしろ自分の中に閉じ込めておきたくて仕方がないのだから、どうしようもない。


“なぁ、やっぱその子のこと好きなんだろ”
“素直になんねえと、すぐ他の男にとられるぞー”


さっきから二輪の言葉が鬱陶しいほど頭の中をぐるぐる回っている。

分かってる。もう認めるしかないってことくらい。

やはり俺は、彼女のことを───…。


「いいよ」


自分の中で何かが吹っ切れた。
開き直ったように首を縦に振ると、花梨が「…えっ」と驚いたような声を上げた。

自分から誘っておいて、おかしなやつだ。まぁそこも可愛いと思うのだが。
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