つれない男女のウラの顔

epilogue



「───え!相手ってあの成瀬さんだったの?!」

「シーっ!マイコ声が大きい」

「いやだって、さすがにビックリするじゃない」


同期会が始まってから2時間くらい経っただろうか。周りの人達がだいぶ出来上がっている中、端の席でマイコに報告したのは、成瀬さんとのこと。

匠海くんとのことも、そのあとの告白のことも、ひとつひとつ丁寧に説明した。相手が成瀬さんだということを伝えた瞬間、マイコは目を見開いた。


「京香が恋したってだけでも奇跡なのに、まさかその相手が成瀬さんだったなんて…ほんと、人生何があるか分からないわね。てか、引越し先の隣人が成瀬さんってだけでも凄いわ」


本当にマイコの言う通りだと思う。色々な奇跡が重なって今がある。何かひとつでも欠けていたら、きっとこの幸せは手に入らなかっただろうから。


「前回話してくれた時に教えてくれればよかったのに、水臭いわね」

「ご、ごめん…」

「デートの練習(・・)をした相手も成瀬さんだったってことでしょ?手を繋いで、キスまでしたっていう…」

「声に出されるとなんか恥ずかしいな…」

「成瀬さんがそんなことをするタイプだったなんてびっくりだわ。無愛想&塩対応キャラで有名なくせに意外と積極的なのね。しかも京香と同じで赤面症なんでしょ?想像出来ないわ。イメージがガラッと変わっちゃった」

「ね。私も最初はびっくりした。赤くなった顔、結構可愛いんだよ。実はよく笑うし、とにかく優しいの」

「急に惚気けるのやめて?こっちがにやけそうになったわ」

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