ラピスラズリ ~前世の記憶を思い出した伯爵令嬢は政略結婚を拒否します~
応接室のソファでは、ベルナルド様が優雅に紅茶のお代わりを飲んでいた。
部屋の隅にあるテーブルではルーカス様がアイシャとお茶を飲んでいるし。
暇なのかしら?帰る気ないですよね。
はあ~と心の中で溜息をついて、
「ベルナルド様。結婚したくないのでしたら、ここに来てはだめなのではないですか?」
「婚約者候補のカノン嬢がそのようなことを言ってはダメだろう?」
う・・・確かに。
ベルナルド様と結婚しなくてはいけないと思っていたけれど、愛のない政略結婚の虚しさを悟ってしまった今となっては、この世界の結婚自体に魅力を持てなくなってるんだよね。
瑠伽はルーカス様かもしれないけれど、瑠伽ではないし。
「私、最近思うのです」
私は語り始めた。
「ベルナルド様が亡くなられた婚約者様の事を今でも愛されていらっしゃるのに、他の人と結婚なんてしたくないだろうなと」
愛し合う幸福をご存知のベルナルド様の心情を察することは、今の私にとっては容易いことだもの。
好きでもない人に抱かれるとか本気で無理。その逆も然りだわ。
「別に婚約者候補から外れてもいいと思うようになったのです」
「え?」
「ですから、婚約者候補から外していただいて構いません」
「…本気か?」
「もちろんでございます。
ですが、一つお願いがございます」
「願い?なんだ?」
「万が一にも、マルクス王子と私の婚約が成立しないように尽力していただきたいのです」
「!?」
驚くベルナルド様ににっこりと微笑んだ。
ベルナルド様はじっと私を見つめたのち、
「私の婚約者候補から外せと言っておきながら、マルクスと結婚しないよう努めろとは・・・。
カノン嬢は何を狙っているのだ?」
「狙うだなんて、人聞きの悪い・・・。
でも、そうですわね・・・」
背後からアイシャとルーカス様の刺さるような視線を感じる。
「そうですわね・・・ただ、心から愛する人と結婚したいのです」
「心から?カノン嬢には誰かそのような人がいるのか?」
瑠伽の事が心に浮かんだ。
けれど、瑠伽はもういない。
ルーカス様は瑠伽ではない。
もう会えないけれど、私は瑠伽が好い。
悲しい気持ちに蓋をして、首を振った。
「いいえ。そのような方はおりませんわ」
と微笑んだ。
部屋の隅にあるテーブルではルーカス様がアイシャとお茶を飲んでいるし。
暇なのかしら?帰る気ないですよね。
はあ~と心の中で溜息をついて、
「ベルナルド様。結婚したくないのでしたら、ここに来てはだめなのではないですか?」
「婚約者候補のカノン嬢がそのようなことを言ってはダメだろう?」
う・・・確かに。
ベルナルド様と結婚しなくてはいけないと思っていたけれど、愛のない政略結婚の虚しさを悟ってしまった今となっては、この世界の結婚自体に魅力を持てなくなってるんだよね。
瑠伽はルーカス様かもしれないけれど、瑠伽ではないし。
「私、最近思うのです」
私は語り始めた。
「ベルナルド様が亡くなられた婚約者様の事を今でも愛されていらっしゃるのに、他の人と結婚なんてしたくないだろうなと」
愛し合う幸福をご存知のベルナルド様の心情を察することは、今の私にとっては容易いことだもの。
好きでもない人に抱かれるとか本気で無理。その逆も然りだわ。
「別に婚約者候補から外れてもいいと思うようになったのです」
「え?」
「ですから、婚約者候補から外していただいて構いません」
「…本気か?」
「もちろんでございます。
ですが、一つお願いがございます」
「願い?なんだ?」
「万が一にも、マルクス王子と私の婚約が成立しないように尽力していただきたいのです」
「!?」
驚くベルナルド様ににっこりと微笑んだ。
ベルナルド様はじっと私を見つめたのち、
「私の婚約者候補から外せと言っておきながら、マルクスと結婚しないよう努めろとは・・・。
カノン嬢は何を狙っているのだ?」
「狙うだなんて、人聞きの悪い・・・。
でも、そうですわね・・・」
背後からアイシャとルーカス様の刺さるような視線を感じる。
「そうですわね・・・ただ、心から愛する人と結婚したいのです」
「心から?カノン嬢には誰かそのような人がいるのか?」
瑠伽の事が心に浮かんだ。
けれど、瑠伽はもういない。
ルーカス様は瑠伽ではない。
もう会えないけれど、私は瑠伽が好い。
悲しい気持ちに蓋をして、首を振った。
「いいえ。そのような方はおりませんわ」
と微笑んだ。