嫌われ義弟に転生したけど、こんなの聞いてない!!

プロローグ

 その日、秋のからっ風が吹いて肌寒い日だった。教会の近くを通る女性は、両腕に布に(くる)んだ赤子を抱えて急いで歩いた。布の中には落ちないようにと、手紙を入れた。

【名前は、ユーリです。生まれた日は、9月23日の秋風の日です。立派な男の子に育ててください】

 小さな孤児院の入り口。門は閉まっているようで入るが、いつ、子を預けに……来るやもしれないという暗黙の受け入れ状態でいるため、鍵は開いている。ゆっくり開けると、ギィッと小さなさび付いた音がしたが赤子は泣かなかった。用意されているかのようにある籠の中に赤子を入れ、手紙が分かるように、それでいて風で飛ばされないようにして。子からそっと手を離すと小さな(まなこ)は必死に母の顔を探る。

 「元気でね」

 そう、ひと言残した女性が足早に去って行った。母が居なくなるのを感じた赤子は、泣いた。待っていたかのように、分かっていたかのように、孤児院の施設の職員が籠の赤子を抱き上げ手紙を読んだ。
 平民は、ほとんど読み書きができない。しかし、この手紙は綺麗な字で書かれており、手本のような字の(つづ)りだった。きっと学ぶ機会のある身分の高い人だが、訳アリの赤子なのだろう。そして『立派な男の子』という言葉。

 孤児院の職員は教会に属するシスターだった。教会に付属して孤児院が設立されている。シスターが居る孤児院と、神父のいる孤児院。教会に属さない孤児院。その3つがあった。教会に属さない孤児院は、悪評が絶えない。職員からの虐待や身売り同然の養子縁組。そのため、教会に属する孤児院は受け入れられる人数が増えてしまい、運営がひっ迫し始めていた。
 結局、教会以外の孤児院に子どもが集まり……という悪循環。

 幸い、ユーリはシスターがいる孤児院で受け入れられた。

 生まれた日から1カ月後、ユーリは孤児院で育てられることになった。【男の子】として……。

 ディーヴァリエ王国の王都にある小さな教会の孤児院に預けられたユーリは、その日から男の子として育てらえた。
 創造神(そうぞうしん)デーヴァにより創造された大陸であり、信仰心厚い人々の多い国・ディーヴァリエ。王侯貴族が存在し、王族と貴族が政治で拮抗しつづけ不安定な情勢になり始めて何年も経っていた。法が存在するとは云え、その抜け道で運営されている孤児院の行いは見過ごされ続けていた。その中で、貴族の家門に魔法士として存在する者もいた。

 ユーリが教会の孤児院で受け入れられたのは、本当に良かったと言える。


< 1 / 1 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop