キミ心をきかせて

1.出会い


楽しい日々


楽しい学校


優しい両親


愛情・友情




そんなもの私の世界には存在せず、


私は1人、固定席である窓際1番後ろの席で文字の羅列を目で追う〝作業〟をしている。


ただひたすらに、朝のHRまでの時間を潰すだけの作業に特に意味はなく、図書室で借りたミステリー小説を流し見している。


面白いかと問われても、面白いかどうかもなにもわからず、時間潰しの為だけにしている事なので物語の良し悪しを考えたことがない。


窓際の1番後ろの席が私の固定席で、皆が1番好むであろう席にも関わらず何故私がこの席なのかと言うと……


「げぇ、まーーた本読んでるあいつ」

「ほんと根暗〜」

「視界に入れたくないから早く席に行こ!」


教室に入ってくるなり私の方を見てわざとらしく放たれた言葉もいつもの事。


どうやら私は、皆の視界に入るだけで人を不快にさせてしまうようだ。


だから、横には1つの空席しかないこの、窓際の最後列の席が固定席になっている。


根暗と言われるのも無理は無い、前髪は目にかかるくらいのばしているし、腰まである髪もまとめていない。

おまけに本を読んでいるからいつも俯いているので根暗ととられても仕方はないし、それに対して何かを感じるなんてこともない。

全てはどうでもいいの一言で尽きる。


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