65リットルよりも、笑って。
プロローグ
ねえ、先生。
1年ってどれくらいだろうね。
365日って、どのくらいなんだろうね。
じゃあ半年は?
365日の半分って、すぐなのかな。
その時間を私は“長い”と言って、あなたは“短い”と言う。
それくらい、それくらいだよ。
私と先生の違いは、それくらい。
「先生。私、花に埋もれたいかも」
「…埋もれてどうする」
「えー、いいでしょ?最後はたっくさんの花たちのなかで笑っていたいなあ。右を見たら白いカーネーション、左を見たら……んー、ピンクのコチョウランあたり?」
西日が射し込む、最近になって気に入ってきた病室。
窓から一望できる町並みの先には小高い丘が見えて、冬を告げる木枯らしが風に舞っている。
「周りはマトカリアが散りばめられてて。そうだ蓮(はす)も大事!…あはっ、やばいね、愛がいっぱい」
こういうとき。
決まって目を合わせてくれないよね、先生。