65リットルよりも、笑って。
毎日毎日、不自由になってゆく身体。
それでも笑って前を向いている彼女を、白衣を着て医師免許を取った俺は見ていることしかできないんだ。
決まった検査、決まった治療。
でもそれは結局、治すことができない。
だからこの寝顔を見ていると、俺だって怖くなる。
「っ、医者のくせに…、なんで…、なんで治せないんですか……っ」
いくら経っても本人が言わないから、俺がこうして言っている。
「どうして治らないんだ」と責めて泣いてくれないから、俺が代わりに言うしかないだろ。
「僕も…しょっちゅう思うよ」
声を圧し殺す俺の涙が、目を閉じた少女の頬に落ちては同じようにツウと流れた。
「最先端と言われている今の医療技術だとしても、救える病気と救えない病気がある。言い方を変えれば救えるものは救って、救えないものには効果も弱い対応しかできない。…果たしてそれは正しいのか、とね」