トップアイドルの恋 Season2〜想いを遂げるその日まで〜
第十二章 正義と真実
休止期間を終え、撮影が再開された。

誘拐された二人は無事なのか?
犯人の目的は?

スタッフ達が食い入るように見守る中、俳優陣の迫真の演技は続く。

「一体何をやっているんだ!まだ手がかりも掴めないのか!」

人払いをした部屋で、警視総監と瞬が対峙する。

「まさか君、楓が私の娘だと誰かに話したのか?そうなんだろう?でなければ、ノンキャリの下っ端警部補の妻と子どもが誘拐される理由なんてない。誰に話したんだ?」
「誰にも話していません。楓の意向でもありましたし」
「嘘をつけ!だから私はこの結婚に反対したんだ。しっかりと身の安全を守ってもらえるきちんとした家柄の相手を選べとな!」

瞬は両手の拳をグッと握りしめて堪える。

「とにかく、一刻も早く楓と大樹を救い出せ!分かったか!」

部屋を出た瞬は、思わず拳を壁に打ちつける。

「大輔」

振り返ると同期の勇作役の須賀が立っていた。

「少し休め。身体に良くないぞ」
「いや、大丈夫だ」
「メシもろくに食ってないだろう?そんなんじゃ…」
「大丈夫だって言ってんだろ!」

大声を出してから、ハッとしてうつむく。

「すまん、つい」
「いや、気にするな。お前の心情を考えたら俺も辛い。大輔、必ず二人を助け出そう。お前の分まで俺が走り回って探し出してみせる」
「勇作…。ありがとう」

会議室に戻ると、情報分析官が新たな情報を掴んだと報告する。

「映像に映っていた倉庫を洗い出しました。音声にわずかに入っている船の汽笛や倉庫の内装、大きさから見て、おそらく埠頭にある廃墟となっている倉庫の一つかと」

そこに楓と大樹が…

瞬は会議室を飛び出した。

「大輔!待て、俺も行く」

二人で外に出るとすぐさま車に乗り込んだ。
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