トップアイドルの恋 Season2〜想いを遂げるその日まで〜
第二章 秘めた想い
翌週の12月5日。

コットンキャンディとサザンクロスは、また別のテレビ局で顔を合わせていた。

毎年恒例のクリスマスの歌番組に、2組のコラボレーションで曲を披露することになっており、今日はそのリハーサルと衣装合わせの予定だった。

別のグループとは言え気心の知れた仲で、7人は息の合ったダンスを披露する。

「はーい、いい感じね。じゃあ、あとは当日のゲネプロで。よろしくお願いしまーす」

振付師のマックがそう言うと、メンバー達も「よろしくお願いします!」と挨拶してその日のリハーサルは終了。
それぞれシューズを脱いでクールダウンを始めた。

「えーっと、ちょっとみんないい?」

思い思いにストレッチをするメンバーを前に、紗季が声をかける。

「この後衣装合わせなんだけど、その前にみんなに報告したいことがあって…」
「なんですか?改まって」
「うん。今まで私がコットンキャンディのチーフデザイナー、陽子がサザンクロスのチーフをやってたけど、今後は明日香がコットンのチーフをすることになりました」

ええー?!という皆の声を聞きながら、明日香は紗季の隣で頭を下げる。

「まだまだ未熟者で紗季さんの代わりとはいきませんが、精一杯務めます。よろしくお願いします」

するとコットンキャンディの3人は嬉しそうに拍手する。

「わーい、やったー!これからは明日香がガッツリ私達の衣装を考えてくれるってことよね?」

それを聞いて、サザンクロスのメンバーは不服そうな声で言う。

「えー?じゃあ明日香ちゃん、もう俺達にはノータッチってこと?ヘルプにも来てくれないの?」
「いえ。今後も時間がある時には、陽子さんのヘルプとして色々勉強させて頂きます。なのでみなさん、引き続きよろしくお願いします」
「そうなんだ。良かったー」
「でも明日香ちゃん。サザンクロスのチーフにはなってくれないの?」
「それは、その…」

明日香は、すぐ横にいる陽子の様子をうかがいながら言葉を濁す。

そろそろ雲行きが怪しくなるのでは、と思っていたら、案の定陽子が両腕を組んでズイッと前に歩み出た。

「あーら皆さん。サザンクロスのチーフにも明日香をご指名ですか?私ではご不満だと?」
「陽子さん!違います、違いますから!陽子さんは永遠のボスじゃないですか。間違いなく陽子さんが1番ですよ」
「それつまり、ラスボスって言いたいの?」

陽子が直哉にますます睨みを利かせた時、あはは!と優斗が無邪気に笑い出した。

「強そう!陽子さんのラスボス」
「優斗、今笑うところじゃない」

充希が冷静に手で制し、優斗はキョトンとしながら笑いを収めた。

「やれやれ。みんな私のイメージどうなってるのよ?」
「それはもう!バリバリ仕事が出来るスーパーマンですよね」
「マンじゃないっつーの!」

まあまあと紗季が横から手で遮る。

「何の話か分からなくなってきちゃったけど。とにかくみんな、今後も私と陽子と明日香をよろしくね!」
「はーい!こちらこそ」
「頼りにしてます、陽子アネゴ」
「直哉!あんたはいつもひと言余計なの!」
< 8 / 118 >

この作品をシェア

pagetop