元カレに裏切られてすぐにエリート上司と出会うなんてあり得ないと思ったら計画通りでした
 乃愛が嬉しそうにテーブルで箱を開封すると、ピザの匂いが瞬く間に充満した。

「きゃあ、美味しそ―」
「え? お前いつの間にピザ頼んだの?」
「さっき。バッグ買うついでにオーダーしといた」

 乃愛は綺麗にネイルした手でピザを掴んで「あーん」と口を開けて食べた。
 それを見た優斗はしばらく呆気に取られていたが、次第に表情を歪ませた。

「いや、ピザ頼むなら言ってよ。俺、カップ麺に湯入れたじゃん」
「うん、優くんはそれ食べればいいでしょ。乃愛はピザ食べるから」
「は? なんだそれ」
「これ、乃愛のお金で買ったの。何か問題ある?」

 乃愛はピザをもぐもぐしながら2枚目を手に取った。

(まじこいつ、何言ってんだよ? そこは彼氏の俺に食べるか訊くだろ?)

 優斗がじっと見ていても乃愛はまったく気にするそぶりを見せず、次々とピザを頬張った。

(いやいや、訊くだろ? 食べるかってフツー訊くだろ!)

 優斗はだんだん苛立ってきた。
 しかし乃愛はきょとんとした顔で優斗に訊ねる。

「どうしたの? 優くん。カップラーメン冷めちゃうよ?」

 優斗は唖然とした。

(俺にはこれを食えと?)

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