元カレに裏切られてすぐにエリート上司と出会うなんてあり得ないと思ったら計画通りでした
「あのね、優斗。一応私たちもいい大人だし、考えなしに突っ走るのはよくないと思うんだよ。結婚しても仕事を続けていいって優斗が私に言ってくれたんだよ?」

 不貞腐れて背中を向けた優斗に向かって、なるべく穏便に話をする。

「私の仕事のこと理解してくれているよね。だったら、そういうことも考えてほしいなって」

 優斗は完全に無視している。
 私は呆れぎみにため息を洩らした。

 どうすればきちんと話し合いができるんだろう。
 やっぱりこの結婚は無理なのかな。

 プロポーズのことを思い出した。
 普段はだらだらしてばかりの優斗が、めずらしくフォーマルの格好でホテルのディナーを予約してくれて、夜景が見える場所で「結婚しよう」と言ってくれた。

 ほんの少し前のことなのに、なつかしく思えてしまうほど、今は遠い記憶のようだ。

 やだ。ほんとにマリッジブルーなのかな。
 うっかり涙ぐんでしまったとき、優斗がぼそりと呟いた。

「やっぱ素直に応じてくれる女はいいよな」

 えっ……何言ってるの?

 優斗はすぐに寝息を立て始めた。
 私の胸中は不安と疑問でぐるぐる渦巻いている。

 いったいダレと比べたの!?

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