【コミカライズ原作】元カレに裏切られてすぐにエリート上司と出会うなんてあり得ないと思ったら計画通りでした
 千秋は特に動じることなく冷静に話す。

「君のような女性は経験ない男なんて嫌だろ?」
「んー、そんなことないよぉ。乃愛、初めての子に優しくしてあげるよ」
「大丈夫。間に合ってる」
「意外~ちぃくんみたいな顔のいい男って絶対経験豊富だと思ってた」
「世間一般の常識に当てはめなくていいよ」

 乃愛は何度も信じられなーいと言い、千秋はそれ以上何も言わなかった。

「まあ、いっか。童貞って面倒だし、乃愛はやっぱり経験値高いおじさんが一番いいなぁ」
「ほどほどにね。でないと君、足をすくわれるよ」
「ちぃくん、やさしぃ~! そんなちぃくんにひとつ教えてあげる」
「何?」
「実はね、乃愛とちぃくんがホテルに入るとこ、石巻さん見ちゃったみたい」

 思ってもいなかった発言を投下され、千秋は無言になった。
 乃愛はすぐに言い訳を口にする。

「乃愛のせいじゃないよぉ。林田さんが仕組んだことだもん。あたしたちがホテルに入るところを石巻さんに見せるために」

 固まったまま無言を貫く千秋に向かって乃愛は可愛らしい声で告げた。

「余計なことかもだけどぉ、早く誤解を解いたほうがいいよ!」

 そのあとぷつんと通話が途切れ、千秋は真顔で固まったままだった。

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