新そよ風に乗って ⑧ 〜慕情〜
「お前は、 そんなに俺と行きたくないわけですか?」
「そ、そんな事は……」
「それじゃ、 素直に一緒に行きましょうねぇ! 陽子ちゃぁん」
「でも……」
「でもは、 ない。 その分、 俺との食事の積み立てにでも回しておけ」
そう言いながら、 高橋さんはデザートのお豆腐アイスを頬張っている。
結局、 高橋さんに押し切られてしまった感じで、 ゴールデンウィークは夢のようなハワイに行ける事になってしまった。
高橋さんは、 私の身体を心配して遅くなるとまた疲れるからと、 それから間もなくお店を出て家まで送ってくれた。 
家に着いて直ぐにお風呂に入り、 さっき受け取ったチケットをもう一度ニヤニヤしながら見て、 嬉しさのあまりベッドに思いっきりダイブした。
でも……出発日って。 もう、 明後日じゃない。 出発は、 夜だけど大変だ。 直ぐに、 用意しなくては。 今年のゴールデンウィークは、 カレンダーの配列が最高の年で、 9連休のうち高橋さんと5泊7日の休日。
何だか、 まだ信じられない。
そして、 その前の社内旅行。
今年は、 静かに早く寝てハワイに備えようと、 ハワイの用意をしながらそんな事を考え、 心に決めながら社内旅行当日を迎えた。

社内旅行……高橋さんがモテモテの行事でもある。
何もないといいな。
そんな考えが、 頭を過ぎっていた。
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