新そよ風に乗って 〜慕情 vol.2〜
「お前は、 そんなに俺と行きたくないわけですか?」
「そ、そんな事は……」
「それじゃ、 素直に一緒に行きましょうねぇ! 陽子ちゃぁん」
「でも……」
「でもは、 ない。 その分、 俺との食事の積み立てにでも回しておけ」
そう言いながら、 高橋さんはデザートのお豆腐アイスを頬張っている。
結局、 高橋さんに押し切られてしまった感じで、 ゴールデンウィークは夢のようなハワイに行ける事になってしまった。
高橋さんは、 私の身体を心配して遅くなるとまた疲れるからと、 それから間もなくお店を出て家まで送ってくれた。 
家に着いて直ぐにお風呂に入り、 さっき受け取ったチケットをもう一度ニヤニヤしながら見て、 嬉しさのあまりベッドに思いっきりダイブした。
でも……出発日って。 もう、 明後日じゃない。 出発は、 夜だけど大変だ。 直ぐに、 用意しなくては。 今年のゴールデンウィークは、 カレンダーの配列が最高の年で、 9連休のうち高橋さんと5泊7日の休日。
何だか、 まだ信じられない。
そして、 その前の社内旅行。
今年は、 静かに早く寝てハワイに備えようと、 ハワイの用意をしながらそんな事を考え、 心に決めながら社内旅行当日を迎えた。

社内旅行……高橋さんがモテモテの行事でもある。
何もないといいな。
そんな考えが、 頭を過ぎっていた。
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