カラダもココロも甘く激しく溺愛してくる絶対的支配者様〜正しい恋の忘れ方〜

激情

何度も何度もかかってくる電話を私は散々焦らした。

そうだよね…。カナデくんも元々は「こっち側」の人間だもん。
焦らされたらたまんないよね?

私はどうなんだろう。
悠太を好きだった頃はこんな感情、持っていなかった。

ただ好きで、いつか悠太もおんなじ気持ちになってくれたらいいなって。それだけだった。

カナデくんのことが許せないのは、好きだって最初に言ったのはカナデくんだったのにって気持ちが強いからかもしれない。

私が失恋した時に一番近くに居たくせに。
酷いよ…。

その日はずっと無視を続けて、次の日にようやくカナデくんに電話をした。

「砂雪!どうしたんだよ…すげぇ心配した…」

「本当にごめんなさい。やっぱり体調悪かったみたい」

「ごめん…。俺が無理させたんだよな」

「そんなことないです。昨日はカナデくんが一緒に居てくれて嬉しかったから」

少しの沈黙の後、スマホの向こうでカナデくんが息を吸ったのが分かった。

「砂雪、今すぐに会いたいんだけどさ…。一週間くらい家を空けるんだ」

「そうなんですか?」

「あぁ。父さんの知り合いの社長家族との付き合いでさ。毎年社長の別荘に呼ばれてキャンプなんだよ」

「カナデくんはもう高校生なのに断れないんですね」

「なかなかな…」

「社長さんのご家族に女の子は居ますか?」

「砂雪、心配しないで。どっちの家族にも男子しか居ないから成り立ってる付き合いなんだよ。まぁ…強いて言うなら奥様だな」

言いながら、私の嫉妬を思い出したのかカナデくんはちょっと笑った。
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