俺様御曹司は逃がさない
────── 放課後。
あたし達は叶家にお邪魔していた。
にしても……ひっろいなぁ。やっぱ住んでる世界線が違うわ、これ。
「ねぇ、柊弥!私の部屋に懐かしい物があるの!ちょっと来て!」
「あ?なんだよ、懐かしい物って」
「いいからいいから!!舞ちゃん、柊弥借りちゃってもいいかな?」
「あ、はい。どうぞ」
「ありがとう!あ、そこの貴方、みんなをパーティールームへ案内して?」
「かしこまりました。では、皆様こちらへ」
・・・・パーティールームとは……?
「フンッ。あなたに勝ち目なんて無いわよ」
あたしの隣に来て、ボソッと囁く凛様。
勝ち目が無いって……別に誰とも勝負なんてしてないんですけどね。
「なんのことでしょう」
「柊弥と咲良……お似合いでしょ?ああいうのが“釣り合ってる”って言うの。分かるかしら?」
・・・・ああ、そういうことね。
ぶっちゃけどうでもいい。
「はは。そうですねー」
あたしが興味無さそうに返事をすると、つまらなそうに凛様はあたしから離れた。
「舞ちゃん。凛に何か言われた?」
「いえ、特には」
「……そっか。悪いね、嫌な思いをさせて」
申し訳なさそうに苦笑いする蓮様。