俺様御曹司は逃がさない
あたしの休日は呆気なく終わりを迎えようとしている。
「晩ごはん食べてくー?」
「いい?」
「いいよいいよ~。迷惑かけちゃったしね。友達と遊んでたのに来てくれたんでしょ?本当にごめん!」
「いや、別にいいって」
律達も出先から戻ってきて、お母さんとあたしと拓人で晩ごはんの準備をしている。
「ほ~んと拓人君はいい旦那さんになるわね~」
「ははっ。そうっすかね」
「なーんで彼女ができないかね」
「それ、舞に言われたくないわー」
これが七瀬家ではよくある光景。
本当に七瀬家の長男なんじゃないかって、錯覚しちゃう時も多々あるよね。
・・・・それから皆で食卓を囲み、拓人は男共を連れて狭いお風呂に入って、何から何までやってくれる。
やっぱ拓人……七瀬家の長男でしょ。
「舞」
「ん?」
「律達が寝た後にちょっと話がある」
「なに改まって」
「ま、そゆこと~」
「どういうことよ」
・・・・お父さんの話ってろくなことが無さそうで嫌だ。
────── そして、律達が寝た後。
「んじゃ、俺帰ります」
「拓人。お前も残って話を聞いてけ。お前はもう家族も同然だ。つーか、七瀬家の長男だからな。お前に隠し事はしたくない」
「え、あ、うす」
「で、なんなの?拓人まで巻き込んでくださらない話とかやめてよ、お父さん」