俺様御曹司は逃がさない


あたしの休日は呆気なく終わりを迎えようとしている。


「晩ごはん食べてくー?」

「いい?」

「いいよいいよ~。迷惑かけちゃったしね。友達と遊んでたのに来てくれたんでしょ?本当にごめん!」

「いや、別にいいって」


律達も出先から戻ってきて、お母さんとあたしと拓人で晩ごはんの準備をしている。


「ほ~んと拓人君はいい旦那さんになるわね~」

「ははっ。そうっすかね」

「なーんで彼女ができないかね」

「それ、舞に言われたくないわー」


これが七瀬家ではよくある光景。

本当に七瀬家の長男なんじゃないかって、錯覚しちゃう時も多々あるよね。

・・・・それから皆で食卓を囲み、拓人は男共を連れて狭いお風呂に入って、何から何までやってくれる。

やっぱ拓人……七瀬家の長男でしょ。


「舞」

「ん?」

「律達が寝た後にちょっと話がある」

「なに改まって」

「ま、そゆこと~」

「どういうことよ」
 

・・・・お父さんの話ってろくなことが無さそうで嫌だ。


────── そして、律達が寝た後。


「んじゃ、俺帰ります」

「拓人。お前も残って話を聞いてけ。お前はもう家族も同然だ。つーか、七瀬家の長男だからな。お前に隠し事はしたくない」

「え、あ、うす」

「で、なんなの?拓人まで巻き込んでくださらない話とかやめてよ、お父さん」

< 439 / 644 >

この作品をシェア

pagetop