だって、そう決めたのは私
「ふぅ。と、言うわけで中川さん」
「うん、どういうわけだろう」
「今度の新作なんですけど」
思春期の学生のように、キラッと歯を見せながら笑う池内くん。いつもこうやって、彼の不思議な言い回しで打ち合わせが始まっていく。初対面の時も、確かそうだったはずだ。彼はとにかく、他者の懐に入るのが上手い。初めての担当者という人に緊張していた僕に、あの時も彼はこうしてススッとそれを解してくれた。それから二人三脚。いくつもの商品を送り出してきたのだが、彼も少し上位の仕事をするようになり、これまでと同じように出来なくなってしまったのが最近のこと。それによって、佐々木くんが新しい担当としてついてくれたわけである。
「贈り物にもしやすい感じでってことで、ちょっと考えてみたんだけどね。こうコロンとした形のポーチとか、どうだろう」
幾つかのデッサンを彼らに提示する。最も緊張する時だ。今回提示するのは、三つのポーチ。バニティ型、柔らかめのぷっくりとしたがま口、それから丸みを帯びたシェル型だ。カナちゃんはシェル型の小さめなのがいいかな、と密かに思っている。気に入ってくれるといいなぁ。毎回そう思って作るのだけれど、いつも使ってくれている鞄以外は、まだ受け取ってもらえていない。
「うん、どういうわけだろう」
「今度の新作なんですけど」
思春期の学生のように、キラッと歯を見せながら笑う池内くん。いつもこうやって、彼の不思議な言い回しで打ち合わせが始まっていく。初対面の時も、確かそうだったはずだ。彼はとにかく、他者の懐に入るのが上手い。初めての担当者という人に緊張していた僕に、あの時も彼はこうしてススッとそれを解してくれた。それから二人三脚。いくつもの商品を送り出してきたのだが、彼も少し上位の仕事をするようになり、これまでと同じように出来なくなってしまったのが最近のこと。それによって、佐々木くんが新しい担当としてついてくれたわけである。
「贈り物にもしやすい感じでってことで、ちょっと考えてみたんだけどね。こうコロンとした形のポーチとか、どうだろう」
幾つかのデッサンを彼らに提示する。最も緊張する時だ。今回提示するのは、三つのポーチ。バニティ型、柔らかめのぷっくりとしたがま口、それから丸みを帯びたシェル型だ。カナちゃんはシェル型の小さめなのがいいかな、と密かに思っている。気に入ってくれるといいなぁ。毎回そう思って作るのだけれど、いつも使ってくれている鞄以外は、まだ受け取ってもらえていない。