ジングルベルは、もう鳴らない
「じゃあね。落ち着いて、考えてみて。話なら、いつでも聞くから。ただ、自分にだけは嘘をつかないように」
「はいはい。分かりました」
「じゃあ、おやすみ」


 おやすみ、と言って手をヒラヒラさせる。朱莉もホームで同じようにして見せた。


「でもね、樹里ちゃん。それは恋の始まりだと思う」


 ドアが閉まりかけた時、朱莉が笑ってそう言った。それから彼女は、忙しく携帯を弄る。まだ驚いている樹里のところに、ブルッとメッセージが届く。


『恋に転がるのか、転がらないかは、次に会った時で分かるんじゃない?』
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