嫌われ毒婦の白い結婚 のはずが、最強幻獣騎士様の溺愛が始まりました⁉

 その意味を理解して、耳まで赤くなる。

「リーゼロッテ。俺はきみに、とてもひどいことをした。謝って許されることではないとわかっている。だが、もしもこれからする話を聞いたうえで俺を許して受け入れてくれるのなら、もう一度最初からやり直してもいいか?」

 テオドールに真剣なまなざしを向けられ、彼が冗談や嘘を言っているのではないと理解する。

「俺は一度、結婚している。妻は結婚式当日の夜に死んだ。俺の剣を胸に突き刺して──」

 テオドールはぽつりぽつりと、結婚式の惨劇について話し始めた。



 ──テオドールと前妻との出会いは、偶然だったという。

 領地内に違法な奴隷商人がいるという知らせを受けて駆けつけた現場で保護されたのが、のちにテオドールの妻となる子爵令嬢だった。

「彼女は誰とでも気さくに話す明るい女性だった」

 テオドールは当時を思い出すように、天井を仰ぐ。

「だが同時に、平気で噓をついて人をだます、悪女だった」

 ラフォン領はイスタールの北の国境を守る地域であり、領地は複数の国と接している。そのため、国境を通るための通行許可証を発行するのはラフォン領の役目になっている。
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