嫌われ毒婦の白い結婚 のはずが、最強幻獣騎士様の溺愛が始まりました⁉

 何か気に障ることをしてしまっただろうかと不安になる。

「リーゼロッテ。結婚しないか?」
「はい?」

 リーゼロッテは呆気にとられる。結婚しないかも何も、テオドールとリーゼロッテは夫婦だ。

「以前、もう一度最初からやり直したいと伝えただろう? 結婚式を挙げないか? リーゼロッテの家族も呼んで」

 想像すらしていなかった提案に、リーゼロッテは目を見開く。まさかそんな提案をされるとは思っていなかったから。

「旦那様、ありがとうございます」

 テオドールとの結婚は結婚式をしていないからリーゼロッテは花嫁衣裳を着ていない。
 いつか結婚するときは純白のドレスへの憧れを密かに持っていたのでテオドールの心遣いが何よりも嬉しかった。

(わたくしは旦那様と結婚できて、幸せね)

 誤解して、すれ違って、遠回りばかりしたけれど、彼とならそんな時間も「こんなことあったね」と振り返って笑う日が来るだろう。

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