【マンガシナリオ版】魔法少女は魔王の息子に愛されすぎてる

1話 私が魔法少女!?

※こちらはマンガシナリオです

〇駅・電車車内(朝)
ぎゅうぎゅうになった、都会の満員電車。
ブレザーに身を包んだいのり。
リュックを腹側に回しているが、潰されかけている。

人混みの間から、優先席の前で困っているおばあさんが目に入る。
優先席に座っているサラリーマンは、イヤホンとスマホに夢中で気づかない。
いのり(代わってあげてほしいな……)

いのり(お願い、代わってあげて……!)

そう願った瞬間、車両内がまばゆい光に包まれる。

☆ ☆ ☆(←仮の漫画の改ページ箇所)

優先席にいたサラリーマンが、窓を突き破って外へ飛び出す。※大ゴマ

目を見開いて驚くいのり。目の前にはガラス片が飛んでいる。

それを物陰から見ている人影が。顔は見えないが、口元だけニタリと笑っている。
(ひつぎ)「……」

☆ ☆ ☆

〇表紙・タイトル
柩に迫られているいのり

☆ ☆ ☆

〇学校・教室(昼休み)
頬杖をつきながら、窓の外を見て物思いにふけるいのり。
いのり(あれから、迎えに来たママに色々聞いた)
いのり(ママは私に隠し事をしてた)

〇回想
炎や煙が立ち昇り、建物が崩れている街
いのり(今から20年前)
いのり(この街に『魔王』がやってきた)

悲痛な顔をしたインタビュアーとニュースのテロップ
いのり(あまりの強さにみんな諦めかけて)
いのり(街も世界も、滅びそうになってた)

少女のシルエット
いのり(そんな状況をたった一人で)
いのり(ひっくり返した少女――)

まこと(※いのりの母)「大丈夫!」

☆ ☆ ☆

まこと「私と一緒に魔王を倒しましょう!」
まことは変身していて、大きなステッキを掲げている。
いのり(その名も、明寺(みょうじ)まこと)
いのり(つまり私は、伝説の魔法少女の娘ってことになる)

〇学校・教室(昼休み)
机の下でスマホをいじっているいのり。
画面には、『明寺(みょうじ)まこと』の記事が映っている。
いのり(ネットでもいくつか記事が出てくる)
いのり(まだ、信じられないけど)

いのりは膝の上に置いていた、母から授かったリボンとブローチを握りしめる。
いのり(突然「魔力」が発現して)
いのり(人を吹き飛ばしたのは本当だし――)

(まい)「いーのーりーっ!」

☆ ☆ ☆

クラスメイトの(まい)が登場。人懐っこい笑顔。
舞「怖い顔して、どしたの?」

いのり「舞! なっ、なんでもないよ」
いのりは、ブローチとスマホをスクールバッグに入れ込む。

じとーっと睨む舞と慌てるいのり ※デフォルメ
舞「今、なんか隠したでしょ!」
いのり「きっ、気のせいじゃない……?」

舞はため息をつきながら、自分のスクールバッグの中をさぐる。
舞「まーいいけど。それよりも見た~?」

☆ ☆ ☆

自分のスマホを掲げ、バズっているSNSの投稿を見せる舞。
舞「『魔法少女、復活か! 悪質社畜に鉄槌下る!』、ファンタジーみたいな話だよね!」

いのりは舞の声が遠くに聞こえ、呆然と立っている。
舞「この魔法少女、モザイク掛かってるけどさー」
いのり(え……嘘……)

舞「うちの制服に似てるんじゃないかって」
いのり(魔法少女だってバレるの、時間の問題じゃん……)

舞「思ってるんだけど、いのりは――」
いのり「ち――」

☆ ☆ ☆

〇学校・廊下(昼休み)
いのり「違うと思う!!!! あとトイレ!!!!!!!」
自分のスクールバッグを引っ掴み、必死な形相で走り去るいのり。

取り残された舞はぽかーんとして首を傾げている。 ※デフォルメ
舞「そんなに違うかなぁ……?」

〇学校・階段(昼休み)
いのりは屋上への階段を駆け上がる。
いのり「そんな急に、伝説の魔法少女とか言われても分かんない!」

ひたすらに走るいのり。涙を拭っている。
いのり「私にはそんな覚悟、ない……!」

☆ ☆ ☆

〇学校・屋上(昼休み)

屋上にたどり着いた、いのり。
フェンスの向こうに広がる、すり鉢状の街を見下ろす。
いのり(これが……ママが守った街……)

いのりスクールバッグから、リボンとブローチを取り出す。

☆ ☆ ☆

取り出したブローチを握りしめる。
いのり「ママは確かに、強かったんだろうな」
いのり「たった一人で、魔王に立ち向かうなんて」

いのりはおもむろに、自分の胸元にブローチを付ける。
いのり「でも……」

☆ ☆ ☆

泣きそうな表情のいのり。
いのり「私には、似合わない――」

(ひつぎ)が、ニヤリと笑みを浮かべ、屋上の給水器の上から飛び降りてくる。
※いのりの学校とは違う、黒っぽいブレザー制服

いのりの後ろに着地。
(ひつぎ)「そんなに悲観しなくていいんじゃないですか?」

☆ ☆ ☆

慌てて振り返るいのり(ブローチは付けっぱなし)と、話し続ける柩。
柩「『世界の平和』を守りたい、でも覚悟ができない」

柩はいのりに歩み寄る。
柩「弱虫な貴女に、いい案があります」

柩は背中側から、真っ黒なバラのブーケを取り出した。
黒いバラの花びらが美しく舞う。

柩「私とお付き合いしませんか?」 ※大ゴマ・コマぶち抜き

☆ ☆ ☆

さらに歩み寄る柩。混乱しながら、フェンス側に追い込まれるいのり。

柩「不自由はさせません」
いのり「え、えっと……?」

柩「秘密だって守ります」
いのり「あの、話が急すぎて」

ついにフェンスに背中が当たるいのり。
柩「幸せにすると誓います」
いのり「理解が、まだ……」

柩の細くて長い指が、いのりの背中側にあるフェンスを掴む。いわゆる壁ドンの体勢。
柩「もしかして」

☆ ☆ ☆

キスしそうなほど近づく二人。

切なげな表情をする柩。
柩「私では、不足ですか?」

いのりは、顔を赤らめながら否定する。
いのり「い、いやぁ、むしろ、私にはもったいないくらい――」

柩はにこりと笑みを浮かべる。
柩「ふふ。それでは理由は――」

☆ ☆ ☆

柩「貴女が魔法少女だから、ですか?」

いのりは目を見開きながら焦る。
いのり「どうしてっ、それを……」

不敵に笑う柩。
柩「そういえば、自己紹介がまだでしたね」

☆ ☆ ☆

柩はいのりと少し距離を取る。全身が映る。
柩「私の名前は薬科(やっか) (ひつぎ)
柩「かつて貴女の母君と敵対していた、『魔王』と呼ばれた男の息子です」

柩はどこからか取り出した自分のスマホを掲げる。画面には当時の魔王の写真が。
柩「ほら、そっくりでしょ?」

困惑するいのり。
いのり「で、でも魔王はママが倒したって……」
柩「ええ。たしかに魔王は倒されました」

☆ ☆ ☆

〇回想
まこと(いのりの母)が、柩の父に馬乗りになっている。
ステッキを振りかざしているが、躊躇している。
柩「あなたの母君は、優しかった」
柩「だからとどめをさせなかった」

〇学校・屋上(昼休み)

スマホの写真がスライドして、にこやかな表情の柩の父といのりの母が映る。
柩「おかげで今じゃすっかり、ただの親バカな父ですし」
柩「二人もいい友人だそうですよ」

優しい笑みから一変、真剣な表情になって、眼鏡を押し上げる柩。
柩「ですが『魔法少女』の手下と『魔王』の手下の間には溝がある」
柩「いまだに多くのトラブルが発生しています」

☆ ☆ ☆

柩「そこで計画を練りました」

ウエディングドレスを着たいのりと、タキシードを着てひざまずく柩のイメージ図。

柩「魔法少女の娘と魔王の息子」
柩「二人が付き合い、結婚する」
柩「トップの新婚生活を邪魔しないように周知すれば、手下の軋轢も、今よりはるかに埋まるはず」

柩「世界がより平和になる。貴女も戦わずに済む」

☆ ☆ ☆

振り返って、いのりに手を差し伸べる柩。
柩「悪い話じゃないでしょう?」

いのりは柩の手をはたく。
険しい顔をして、柩を睨みつけるいのり。

いのり「わ、私は……」

☆ ☆ ☆

いのり「わ、私は恋したことがないの! だから無理です!」

はたかれた手を押さえて、驚いた顔をしている柩。

いのり「結婚よりも前に恋をしたいの! だから断ります!」
いのり「世界平和だって……どんなに覚悟に時間がかかっても、自分でなんとかしますから!」

二人の間に静寂が流れる。

それを破ったのは、柩が噴き出した音。

☆ ☆ ☆

柩「ハハハハ!」

少し軽蔑したような目で見下ろす柩。
柩「50万通りの中で、最善のシナリオなのですがね」

柩「こんな小娘に、断られるなんて」

黒いバラの花びらが舞い、目を見開くいのり。

柩「貴女も魔法少女として目覚めたのなら」
柩「現状を正しく見て」
柩「冷静に、世界の未来を考えるべきです」

柩の周りにブワッと黒いバラの花びらが渦を巻く。

☆ ☆ ☆

柩「魔法少女、明寺(みょうじ)いのり。敵はすぐ近くに迫っているのですよ」

変身した柩が登場。
黒い髪が床に付くほど長く伸び、インナーカラーに赤色が入っていて、中性的な雰囲気に。
頭には黒い角。
爪も黒く長く伸びている。
シルバーのピアスは中華風で長さのある赤いものに。
メガネはそのままだが、奥に光る瞳が黒から赤に。
ニヤリと笑う口には牙が覗く。
服はブレザーから、黒のロングチャイナドレスのようなものになり、靴も黒いブーツに。
背中には大きな黒い翼が生えている。

いのりは思わず頬を赤らめ、見とれてしまう。

少しして、ハッと我に返るいのり。※デフォルメ

いのりはブローチを握りしめながら、臨戦態勢に。
柩をきつく睨みつけているが、手は震えている。

いのり「戦うなら、望むところ、ですっ……!」

☆ ☆ ☆

柩「魔力に目覚めたばかりの貴女が、私に勝てるとでも?」

不敵に笑う柩。
人差し指を立てて歩み寄る柩。
宙に舞っていたバラの花びらが、黒いナイフに変化していく。

いのりは目を見開く。
いのり(花びらが、ナイフに……!?)

柩がしなやかなしぐさで、黒いナイフを手に取る。
柩「仕方がないですね」

☆ ☆ ☆

再びキス寸前なほど近づく二人。
柩はいのりの首元に黒いナイフを突き立てる。
柩「では、今すぐ選んでください」

ナイフがいのりの首筋を滑り、赤い血がわずかに垂れる。
柩「私の計画に従うか、ここで死ぬか」

☆ ☆ ☆
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