政略婚姻前、冷徹エリート御曹司は秘めた溺愛を隠しきれない
確信する愛


迎えたゴールデンウィーク初日、明花は部屋を引き払い、貴俊との結婚生活がスタートするマンションへやって来た。

これまで何度か訪れているものの、未だに人ごと感覚で結婚同様に現実味がない。

いよいよ彼との生活が、ここで始まる。
そう思うと、嫌でも背筋が伸びる思いだ。


「貴俊さん、今日からどうぞよろしくお願いします」
「そんなにかしこまらなくていいから」


深く下げた頭を、出迎えてくれた貴俊がふわりと撫でる。
たったそれだけで心臓が大きく弾むのには訳がある。


『政略的に進めた結婚には違いない。でもそれはあくまでも手段であって目的じゃない』
『俺が欲しかったのは明花だ』


つい先日、彼に告げられた言葉が蘇ってしまうからだ。

(部屋探しに訪れた片野不動産でたった一度会っただけなのに、どうしてそこまで?)

不思議に思うのとは裏腹に、うれしい気持ちは隠せない。
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