俺様系イケメンは、私にだけ様子がおかしい
二章




全国の女の子達に問いたい。


イケメンにいきなり告白されるって言うのは女の子の夢だし、私もそういうのにめちゃくちゃ憧れてた。


でも、現実は違う。




(え……なに……?怖い……)



そう、めっちゃ怖い。


だって、凄い顔の良いイケメンが地味でそんなに可愛くない私に対して俺の女になれなんて言うかな?

意味不明、理解不能。というか、からかわれてる?


私を口説いた?ことによってクラスの雰囲気は凍りついてしまった。
え?なんであいつに?と言わんばかりの空気が息苦しすぎる。

どう返すのが正解なのか分からない。

ヤバい、パニクってきた……



「あ、大丈夫です……」



咄嗟に口から出た言葉に自分で自分を殴ってやりたくなってきた。
あれ、自分で自分をって日本語として合ってるっけ……


私の反応に目の前のイケメンはポカンとした顔をしている。

イケメンはポカンとしてる顔もカッコいいんだね。



「……は、」


「あっ、えっと、じゃあ、これで失礼しますね……!すみません、本当!」



もう全て放り出しちゃえ!


その場からダッシュでイケメンから逃亡することにした。

振り返ってはダメ。

現実を見ないで走るのよ、夏秋柚月《なつあきゆづき》!



逃げるように自分の教室に戻ってくると、響子ちゃんがコテンと私を見て首を傾げた。



「遅かったけど……下痢?」


「えっ!?いや、全然……快便だったよ!」


「そうなの」



響子ちゃんって凄い美人だけど天然入ってると思う。
トイレに行くというしょうもない嘘をついたせいで多分響子ちゃんは変な勘違いをしてるっぽい。

でもこの斜め上の考え方とかが響子ちゃんの魅力を更に引き出してる気がする。

そういうところ私は好きだなぁ。


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