俺様系イケメンは、私にだけ様子がおかしい
十章



あの悪夢のような出来事から、本格的に響子ちゃんとは関わらなくなってしまった。


クラスで響子ちゃん以外とほとんど関わってこなかったツケが回ってきたみたいで、私はクラスで一人ぼっちだった。


響子ちゃんとまだ仲が良かった時の私は、響子ちゃんが居れば怖くないと本気で思っていた。

たまにもっちーが来て、三人で話してって言うのがずっと続くもんだと勝手に思っていたから。


でも違った。響子ちゃんは別に私が居なくても生きていけるんだから。




「おっはー、夏秋」


「あ………もっちー、おはよう……」



学校に登校していると、望月君から後ろから肩をトントンと叩かれた。

望月君は前に比べて、私によく接してくれるようになった。

響子ちゃんとの一件があってから明らかに気を使ってくれてるんだろうと言うのが分かるから、なんとなく気が重くなる。



「最近ちょっと肌寒いよなー」


「一応もう9月だしね……」


「時間が経つのはえーよなぁ、もうすぐ高三になんだから」



言われてみたら確かにそうだ。

元宮君が転校してきたのがついこの間のようだけど、5月に転校してきたのを考えるともう4ヶ月も経ってるんだ。

……あ、元宮君の顔を思い出しちゃった。



「はぁ〜〜〜……」


「なに、下駄箱見んの怖いの?心配すんなって、俺も一緒に着いてってやるから」



全然違うことを考えていたんだけど、望月君は私を励まそうとしてるのか、明るい声色で肩に手をポンと置いた。


(もっちーが私の味方で良かった)


性格が悪いことを考えてるのはわかってるけど、心の底からそう思った。

幼なじみで、響子ちゃんを好きなもっちーなら響子ちゃんの立場に着く可能性だって全然あったから。

そうなったら本当の意味で私は一人だったし、学校にだって行けてるかどうか怪しかった。


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