世界の果てで、君との堕落恋愛。
体を極限まで縮こませて、形だけの謝罪を口にする。

彼は、自分が適当に扱われることを何よりも嫌う人。

だから、わたしは見せかけの“丁寧”を演じる。


「……別に、謝れとは言ってない」


今度は苛立った声ではなく、少しだけ影を宿した元気のない声が降ってきた。

……何だか凄く掴めない性格してるなあ。


「そ、そうですか……」


わたしがそう言ったのを堺に、長い沈黙が訪れる。

それがめちゃくちゃに気まずくて、早くこの場を去りたくて仕方がなくなった頃。

わたしに興味を失ったのか、それともわたしの存在なんて忘れたのか、菅生さんは何も言わずにポケットに手を突っ込んで、教室から出て行った。

───はずだった。



「刀利サン、暗くなる前に帰れよ。……最近、この辺物騒だからさ」



顔だけをこちらに向けた彼が、わたしに向けてそんなことを言った。

……もうこの学校を卒業しているはずの人が、立派な大人が、なぜ。

なんの価値も魅力もない高1女子なんかに、そんな言葉を放ったのだろう。

そんな疑問を抱えながら、わたしは彼に言われた通り、陽が落ちる前に学校を出た。
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