世界の果てで、君との堕落恋愛。
20階に着いたことを知らせるように、エレベーターはゆっくりと動きを止め、静かに扉が開いた。

765号室の前までたどり着き、コンコンと扉を叩いて1度断りをした後、横にスライドさせて、病室の中に入った。

その時。


「りょうかお姉ちゃ〜んっ!!」


突然ベッドから飛び出した小さな男の子が、わたしの元へテクテクと走ってやって来て、ガバっとわたしの足に抱きついた。


「ふふっ、涼太くんお利口さんにしてた?」

「うん! 僕、今日すっごく頑張ったんだよ。脳の検査したり、血液検査したり」

「わぁ、そうなんだね。涼太くん頑張ったねえ、偉い偉い」


この小さな男の子は、わたしの弟だ。

わたしが16歳で、涼太くんが5歳。

年で言ったらだいぶ離れているけれど、わたしは涼太くんが可愛くて仕方がない。


「そんな涼太くんにはね〜、じゃん! 涼太くんの大好きなソーダアイスをプレゼント!」

「わぁ…! お姉ちゃん僕のために買ってきてくれたの?」

「うん、そうだよ。溶けちゃう前に早く食べてね」


アイスの袋を開けて、それを涼太くんに差し出す。

まだ小さなお手々でそれを受け取った涼太くんは、すごく幸せそうなとろける笑顔をしてアイスを頬張っている。
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