1分で怖い話 part1
ママの味付け
「ママと同じ味にしろよ!」
A子は先月から同棲を始めたB男にそう言われ、その日に作った料理は結局食べてもらえることができなかった。

A子とB男が付き合い始めたのは去年の1月から。

今月でもう1年半の交際歴になるけれど、まさかB男がここまでのマザコンだとは思っていなかった。

「わかった。あなたのお母さんに料理を教わりたいんだけど、いいよね?」

ママの味にしろと言われたってその味を知らないA子には、教わるしか味を再現する方法がなかった。

「あぁ、もちろん」
久しぶりに実家に帰れることが嬉しいのか、B男はすぐにOKした。

そしてその日の休日。
ふたりはさっそくB男の実家へ着ていた。
「あらあら、B男がお世話になっています」

背が小さくて物腰が柔らかいB男の母親にA子はホッと胸をなでおろした。

同棲を始める時に電話で挨拶はしていたけれど、会うのはこれが初めてだったのだ。
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