1分で怖い話 part1
「大丈夫だよ。ここが私の居場所だから。ここ以外にどこかへ行くつもりはないの」

友達はティッシュで鼻血をふきながら笑顔で答えた。
ついさっきこかされて顔面から床に突っ込んでいたから、そのせいで鼻血がでたみたいだ。

そのときクラス中に湧き上がった大きな笑い声が、今でも私の耳にこびりついて離れない。
「やっぱりさ、誰かに相談しようよ。このままじゃもっとひどいことになるよ」

クラスのみんなは遠巻きに見て笑うか、見てみぬふりをするばかり。
担任の先生は薄々気がついているのに、友達のことを無視している。

このクラスに助けになってくれそうな人は誰もいない。
「私なら本当に大丈夫だから。放課後になるとミミカがこうして話をしてくれるし」

そう言って私に笑いかけてくる友達に、胸の奥がチクリと痛くなってうつむいた。
「こうして会話することしかできないのに、それでいの?」

「十分だよ」
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