こんな雨の中で、立ち止まったまま君は

-2-


 コンビニのある駅から二駅目に、俺の住んでいるアパートがある。

 駅を出ると、店同士がぎゅうぎゅうと肩を寄せ合って建ち並ぶ。


 三階建てほどの小さな雑居ビルがほとんどで、

 入っているテナントの大半が古着屋か大衆居酒屋だ。


 ビル自体は俺が生まれる何年も前からここに建っているのだろう。

 どれもが古びていて、亀裂の走るビルなんかもある。

 どのくらいの年数が経っているのかなんてことは、もちろん知るはずもないし、興味もない。


 ただ、看板の文字は目まぐるしく変わる。

 ティッシュやビラ配りの人間に、5メートルの間で3人につかまる。


 生き残りをかけたそんな戦いの跡は、

 朝になると道路の上に虚しく散らばっているのだが。


 高層ビルは無いけれど、人口率はそれなりに高い。

 大学のある駅から4駅、都心にも乗り換えなしで行くことができるこの町は、

 アパートの家賃が安い、ということもあって、学生たちに人気がある。


 俺がこの町を選んだのも、そんな理由からだった。




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