清くて正しい社内恋愛のすすめ
 加賀見は穂乃莉にシーツをかけると、ベッドサイドに腰を下ろす。

 そして穂乃莉を落ち着かせるように、背中を優しくぽんぽんとゆっくりと叩いた。


 静かな時が流れ、次第に穂乃莉の頬に赤みがさしてくる。

「加賀見、ありがとう。私はもう平気だから。加賀見もちゃんと自分の部屋で休んで……」

 穂乃莉が手を伸ばし、加賀見はその手を取ると、両手でそっと包み込んだ。

「大丈夫。穂乃莉が寝たら、部屋に戻るよ」

 穂乃莉は安心したのか、ほほ笑みながら小さくうなずく。

 そして急にドギマギとしたように、目線を逸らした。


「どうした?」

 加賀見が首を傾げながら顔を覗き込むと、穂乃莉はもじもじとシーツで顔を半分隠しながら、上目遣いで加賀見を見つめる。

「あのね……。一つだけ、わがまま言っていい?」

 加賀見は、穂乃莉の様子を不思議に思いながらわずかに眉を上げた。


「その……キ、キスして欲しいの……」

 そう言った途端、穂乃莉はシーツを引き上げて頭からすっぽりと被ってしまう。

「キ……ス……?」

 加賀見は予想外の穂乃莉の言葉に、思わず聞き返す。
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