清くて正しい社内恋愛のすすめ

思いもよらない仕掛け

「で、具体的にどう動くっていうの? まさかノーアイディアってことはないよね?」

 国内チームだけになった会議室で、玲子が加賀見の顔を覗き込む。

 加賀見は口元を引き上げると、一旦みんなの顔を見回した。


 社内会議が終わった後、国内チームは加賀見を取り囲むようにロの字に机を並べて座っている。

 加賀見が何を考えているのか、具体的な方法についてはまだ何も聞いていない。

 全く見当がつかず、穂乃莉も戸惑った気持ちのまま加賀見を見つめていた。


「もうすでに土地は買い占められているんですよね? それを今から止めるなんて、できるんでしょうか……」

 卓の声に、みんなも急に不安な顔つきを見せる。

 すると加賀見は自信たっぷりな顔を上げた。


「それを今から止めるんだよ」

「え……?」

「どういうことだ?」

「東雲が開発したくてもできない環境を作り上げる。でもこれは久留島だけじゃダメなんだ。温泉街全体で動くからこそ意味がある」

 加賀見が穂乃莉を振り返り、穂乃莉はまだ意味が分からずに首を傾げた。
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