清くて正しい社内恋愛のすすめ
　瞳を潤ませながら見上げる穂乃莉の肩に、祖母がそっと手を乗せる。

「穂乃莉。今後のことは、あなたと加賀見くんに任せるわ。あなたたちなら大丈夫。二人で久留島の未来を、繋いでいってちょうだい。頼んだわよ！」

　そう言いながら穂乃莉の肩に力をこめるよう手を添える祖母の顔は、とても晴れ晴れとしている。

　祖母の隣に立つ正岡も、涙ぐみながら何度もうなずいていた。


「おばあさま……」

　穂乃莉は祖母の手を取ると、ギュッと握り締める。

　今まで、一人で久留島を引っ張ってきた祖母の、力強く温かい手。

　すると祖母が加賀見に視線をうつした。


「加賀見くん。穂乃莉をどうぞよろしくお願いします」

　その言葉を聞いた途端、加賀見は穂乃莉の隣に膝をついて座ると、二人の手を包み込むように両手を重ねた。


「はい。私の一生をかけて、必ず、穂乃莉さんと久留島グループを守ると誓います」

　加賀見の声に、祖母が涙を流しながらうなずく。

　そして三人は、おいおい泣く正岡の声を聞きながら、お互いの手をいつまでもいつまでも固く握りしめた。
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