君の心をみせて
翌日、学校はいつもより少し騒がしかった。

「ねえ、彰くん!昨日連絡したのになんで見てくれないの?」

「私も、電話、出てくれなかったの初めてなんだけど」

「ごめんごめん」

福原が廊下で十数人の女子に囲まれている。

私と啓斗の視線に気がついた福原は苦笑いだ。

「俺、これからみんなの連絡、出れない。だから、ごめんね」

福原は騒がしい女子の輪を潜り抜けて教室に入っていった。

〔なんで〕

〔ひど、最悪〕

〔うわ萎えたわ〕

女子たちの心は実際よりももっと騒がしかった。

「彰が女の子を拒絶するの、初めて見た」

「え、そうなの?」

連絡に出られなくなる理由は察したけど、福原の今までは思っていたよりもチャラいらしい。
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