Dying music 〜音楽を染め上げろ〜






二学期








「来週から部停に入るから、これからのスケジュールをもう一回確認しようと思う。」




9月には中間考査があるため、来週から部活動停止期間。その前にやることをやってしまおう、とミーティングを開いた。



「本番の一週間前にリハがあるから、そこまでには全部完成させたい。」


夏休み中に文化祭で演奏する3曲にはすべて触れた。が、曲によって完成度がバラバラだ。


「一曲目のGET BEATはほぼ完成形に近いよな。」


「GETBEAT」は我らが大好き、ラウンドの曲。体育祭にも流れたし、誰もが一度は聞いたことがあるだろうってことで組み込んだ。聞きなれている曲だったから弾けるようになるまでにそう時間はかからなかった。あとは微調整を残すのみ。


「あぁ。これは細かいところ中心に精度を上げていこう。2曲目の「アクアリウム」は次には通しで合わせてみよう。問題はー」

「…コックピットか。」





この中で一番の難曲、そして唯一本家とは違うスタイルでの演奏。全員がこの曲に苦戦していた。夏休み前はギターが難しいだの何だの言っていたのだがよく考えるとベースもドラムも難しかった。ベースはスラップ激しいし、ドラムだって乱打あるから一筋縄ではいかない。


「一応確認するけれどコックピット、やる?」


涼がみんなに聞いた。


「やるよ。」「やるだろ。」「やる。」


即座に全員で答えた。みんな難しいことは承知の上でこの曲にした。今更諦めて別の曲にしようなんて考えはなかった。



「全員一致な。じゃあこれからはコックピットを中心に練習していこう。」


なるべく部活のある日はお互いに分からないところを教え合う、演奏に回して基礎練習などは各自でやることに決めた。それから当日にやるべきこと。いつ集合していつ楽器を運ぶか。移動は誰に協力してもらうか。MCはどうするのか、音響について生徒会との相談など。テスト期間にも勧められるように分担だけ決めて、あとは個人作業。



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あと、一か月。



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