Dying music 〜音楽を染め上げろ〜
「あー美味しかった!」
「涼食いすぎなんだよ。」
3人はさっきまでファミレスで夕飯を食べていた。そんで今は駅に向かっている途中。
あれから何度も勧誘した。何回行っても返ってくる言葉は「入らない」「興味ない。」前回なんかついに「もう来るんじゃねぇ。」ってマジトーンで吐き捨てられた。あーぁ、やっぱり無理かな~。
「……え。」
すると急に怜斗が足を止めた。
「どうした?」
「あれ。」
そう指をさしたのは、
「あれ如月くんだ。俺が前見たギターケースと一緒!」
よくよく顔を見てみる。……間違いない。如月君だ。
「行こう。」
「お前マジかよ!?そっち南口だぞ!?」
恭也が焦って止める。
「いいから!」
追いかけて南口を出た。人通りが多い通りの両端には居酒屋やバー、おまけにキャバクラとホストクラブ。夜とは思えない明るさに目がチカチカする。プラカードを持ったキャッチを断りながら如月君のあとをつける。
(一体、どこに行くんだ)
2,3分後、大通りを外れ、狭い路地に入った。
せっま……。
幅一メートルほどの路地を進んでいく。少し歩いたところで如月君がふっと消えた。
「こっち行った。」
恭也の行った方向に行く。だがー
「嘘。」
「行き止まり!?」
確かにここに入った。でも見えるのはただの廃材とごみ箱。道なんてない。
……いや、待てよ……。
「あー見失った。もう帰ろうぜ。」
「待て、これもしかしたら……。」
涼は廃材を3、4本どけた。おい、まじかよ。
「やっぱり。これフェイクだ。」
その先に一本の道があった。
「これ死角になってて見えないのか!」
その仕掛けに怜斗がはしゃぐ。
「行くぞ。」
路地を数歩進みだしたときだ。
ドッ‼
「いっって…っ‼」
涼の背中に痛みが走った。影で顔が見えない。手がこっちに伸びてくる。
―「やられる。」
……?
しかし手は顔の前で止まった。恐る恐る目を開けると。
アッシュカラーの髪、切れ長の目、そしてギターケース。
「如月……くん?」