Dying music 〜音楽を染め上げろ〜



次の日の放課後、Midnightに行って師匠に事情を話した。


学校に行っていないときは特別な用事がない限り依頼は受けていたし、前回のような飛び込みのステージにも難なく立てていた。でも、これからは時間が制限される。Cyanとしてもナツとしてもステージに立てる回数が少なくなる。


そこで、バンドサポートなどは土日中心にしてもらうことにした。Cyanとしてはもちろんランダム出演、ソロは時間が合ったら出る感じで。



「にしても軽音楽部か。どうした急に。あんなにバンドはやらないって言ってたじゃねぇか。」

「まだ、不安です。でも好奇心の方が勝った。」




……師匠に軽音楽部に入部したことを伝えたとき、心配そうにされた。そりゃそうだよな。俺はバンドに入れてもらった経験は2回くらいあるんだけれど、どれも続かなかった。何より、居心地が悪かった。ちょっと、嫌な思いもしたし。……俺にとっては半分トラウマだからな。




「動画の方も大変になるな。」

「そうですね。頻度が落ちるのは確かです。」



歌う分には問題はないが、そのあとの編集作業に時間を取られるんだ。今のままでも低頻度なのにこれからはもっとスローペースになる。でもリスナーさんに少しでもいいものを聞いてもらいたいからね。手は抜けない。



「この際にMIX師に頼むってことはしないのか。」

「はい。セルフプロデュースは続けます。それに、しばらくは浮上しないんで。」



何かするのか?と師匠に聞かれる。



「今新曲作っている最中なんですよ。」

「次はどんな感じにするんだ。」

「柔らかめの曲ですね。」



前回の曲はバリバリロックだったから雰囲気変えて緩急つける。クラシックっぽい感じにしたいけれど、その辺の知識があまりないからなぁ。試行錯誤しながらの作業になりそうだ。


「よし、オープン準備するぞ。お前はカウンターの椅子下せ。酒類には触るなよ。」


開店準備の声をかけた。酒には触るなって。師匠って俺のことすぐガキ扱いするんだよな。別にボトル開けるわけじゃないんだから触ってもよくない?今年で16歳なのに。2年後成人だよ?


「はぁい。」


ぐだっとした返事をしながらカウンターへ行った。




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