最愛 〜Love means never having to say you're sorry〜
それなのに、そのお兄さんは、

「…じゃあ、周りには僕の従妹ということにしておくよ。他の人に余計なことは言わないで、とりあえず部屋に行きなさい。キーを取ってくるから」

正直、かなり驚いた。

ホテルマンがそんなことをしていいのかという思いもあれば、他の男のように下心を持たない人も、初めてだったから。

これが、あなたとの出逢い。

高校卒業目前、雪が降り頻る18の誕生日のこと。

ホテルの部屋からぼんやりと外を眺めて居ると、部屋の電話が鳴った。

「大丈夫?」

あなたにそう尋ねられ、

「私ね…今日が誕生日なの」

何故かつい、そんなことを言ってしまった。
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