まどろみ3秒前

sleep 6


それから次の日も、その次の日も、またその次の日も…

日を跨ぐことはなく、私は次の日に起きることができた。

夕方に起きていたが、段々とお昼に、そして朝に起きれるようにもなった。起きて朝日を浴びながら、朝という時間を見たときの喜びは、本当に相当なものだった。お母さんも、そんな私を見て泣いて喜んでくれた。


―症状が、回復しつつあるらしい。


小学生のときから、朝に起きるということはあまり出来なくなっていた。

だが今の私は、誰も私を起こせないのは変わらないけれど、自然と朝に起きることは出来るようになった。

朝起きて学校に行き、勉強を真面目に受けて小鳥と帰る。そして、あの人に勉強を教えてもらいに行って、1日を終える。

そんな日々が、まるで当たり前のように続いていた。



「ねぇ翠」


朝、学校へ行こうと準備していると、コンコンッと扉をノックする音がした。扉が開き、お母さんが顔を覗かせていた。


「ん?どしたの」

「病院行かない?最近…起きれてるじゃない?一応行っとかない?」


「あーいいよ」と私は他人事のように呟いた。何も考える必要はない、私は大丈夫だ。嫌な予感も、胸打たれる嫌な音もなかった。

私は安心していた。朝に、目を開けることができて。ただ、もう、何も感じなかった。
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