身代わり娘の逃走計画

 次の日、朝早くから後宮の役人がやってきた。何事かと寝巻きをさっさと脱ぎ捨て着替える。身代わりが発覚したならばまず兵士が乗り込んでくるだろうと自分に言い聞かせて、平静を保つように努めた。


「国主様が直に髪の様子が見たいと仰せです」

「伸びたらお伝えするのでは?」

「他の妃からの呪術により伸びないのではないか、と心配しておられるのです」


 役人は続けて、「このままでは妃たち一人ひとりを取り調べなければなりません」とまで言い出した。

 ……もう、腹を括るしかない。


「わかりました、すぐに参ります」


 私は薄い布を頭の上から被ると、侍女たちを引き連れて玉座の間まで向かった。早足で進みながら、どうやって妃たちは無実だと訴えようかと考える。
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