魔女ごときが魔王様をダマせるはずがない

 魔王は、国王を振り向いた。

「あれ? その反応、もしかして君も国王も本当に知らなかったの?」

「だって、私は孤児で……」

「孤児? 父親のことを知らなかったってこと? だけどそれにしたって、お母さんはいるのに孤児?」

「いえ、大魔女は育ての母で……」

「僕が人間界のしきたりとか慣例とかそういうのを、いまいち分かってないのがいけないのかな? 今ものすごく混乱してるよ。『育ての母』っていうのはどういう意味? 母親なんだから、もちろん育てもしたんだろうけど……」

 国王が一歩、二歩とゆっくり王女に歩み寄った。

「まさか、私と彼女の子ども……?」

 魔王は国王を鼻で笑った。

「まさかも何も、父親譲りの瞳に、母親譲りの髪だろうに」

「カアアアアーーーー!」

 そのとき、謁見の間にカラスの鳴き声が大きく響いた。

 そしてカラスが窓を突き破って入ってきた。

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