きみがくれたもの
第2章 関係


今日、8月31日は私にとっても家族にとっても一生忘れられない人が亡くなった日。
それは、私のお姉ちゃんが亡くなった日。今から三年前、私は小学5年生、姉は中学1年生だった。私立を目指していっぱい勉強して難関校に入学した。姉は、私のように食物アレルギーやコリン性蕁麻疹などに悩まされなかった。じゃがバターを美味しそうに食べて、元気いっぱいでポジティブな女の子だった。そんな彼女のおかげで、家族は幸せだった。もうすぐ旅行に行く所だった。そんな8月の最終日の朝だった。もうすぐ9月なのに暑さが抜けない日。姉が、起床時間になっても起きてこなかった。母が心配になって様子を見に行くと横になっていた。いくらゆすっても起きなかった。そこで、母は気が付いた。姉の、意識がなく呼吸をしていないことに。あまりにも突然だった。姉は、救急搬送された。でも、医者から出た言葉は残酷だった。
「立森真希さんは、残念ながらお亡くなりになりました。」
原因は、突然死。睡眠中に突然死に襲われたらしい。当の本人は、知っていたのか。姉の死を知った後、パソコンに向き合った。姉の死の原因は、何だったのか。調べると、小難しい事が書いてあった。『睡眠中は、副交感神経系が亢進し、交感神経系の活性は低下するので、睡眠中に突然死が起こることはある』と。私は、死はこんなに身近に起こるんだ、と実感させられた。途端に、お姉ちゃんとの記憶が脳内に流れ込んできた。
1番古い記憶は、3歳だ。姉に連れられ公園にやってきた。姉と一緒にブランコに乗り、姉が自信満々にものすごい力を使って漕いでたっけ。私も、漕ごうとしたけどうまくいかず、そのせいで泣いてしまい姉に慰めてもらった気がする。
そんなこと以前に、もっともっと悲しませる事が目の前にあった。明日の9月1日は、姉の人生スタートの日。つまり、誕生日だ。13歳の誕生日。あと、1日生きれば新しい年齢を迎えられるのに。
でも、姉は12歳と12ヶ月で亡くなった。
数日後、姉のお葬式が行われた。姉の友達や姉を受け持った先生など沢山の人が来た。皆、私と同じように泣いていた。泣き崩れる者もいた。過呼吸になるものもいた。
火葬場でも、皆ワンワン泣いていて、泣き声が場内に響き渡った。皆が帰った後も、私は泣き続けた。それは、両親も同じだった。お父さんも、お母さんも私を無理に連れて帰ろうとはせず、寄り添ってくれた。
あれから、もう3年の月日が経った。両親は、姉の死から立ち直りつつあるけど、
「姉、真希が亡くなった。」という重い事実とその心の傷はまだ癒えてない。
そんな、過去を思い出し、辛くなった気持ちを抱えたままお墓参りに来た。桜の木が近くに植えてある。樹齢は、何年かは忘れてしまったけど結構な年だったはず。
その後、私は祈るかのように手を合わせた。


〈ねぇ、お姉ちゃん。元気?お姉ちゃんがいなくなって、もう3年が経ちました。はやいね。段々と皆[お姉ちゃんの死]に立ち直れてきたよ。でも、何年たってもお姉ちゃんが死んだ事実と心の傷は変わらないと思う。私も段々とお姉ちゃんがいない生活にようやく慣れてきたように感じるよ。私は、ずっとお姉ちゃんにまた会える日を楽しみに待ってるね。あ、そうそう、お母さんたちケーキについて結構選ぶの大変そうだったからぜひ、天国で食べてね。じゃ、また明日。〉


そこで、目を開けると両親はまだ祈っていた。


「お待たせ。」
「待たせて、すまん。」
しばらく経った後、両親は腰を上げた。最後に、3人で姉の眠る墓に「また明日。」と言って別れを告げた。
















































































昨日の墓参りから1夜明けた今日。9月1日。姉の16回目の誕生日。昨日に引き続き、お墓へ行ってお祝いしに行こう。花束とか持っていくと喜ぶかな。


途中で、花屋に寄り花を買った。それが終わり、お墓に行くと先客がいた。誰、だろう?お姉ちゃんの友達、かな?そんなことを思いつつ、気になったのでその人に近づいてみた。
うわぁ。美人さん。見えたのは、横顔だけだったけど、スッと通った鼻筋や伏せられたまつ毛からは美人だってことが見て取れた。そのまま、見とれてしまい、ジィっと見つめてしまった。
「何?」
急に聞こえた声にびっくりしてしまい、私は思わず声を上げてしまった。その声が、私が見とれてしまった人だって気が付いたのは、10秒くらいかかった。
「あ、あの!すみません。とても、綺麗なお顔立ちだったので!」
言い訳のようにしか聞こえない、気を悪くさせてしまったかもしれないと思ったけれど、その人は、優しく言った。
「いいえ。大丈夫。それに、ありがとう。綺麗だと言ってくれて。」
驚きの言葉に私は言葉を失った。
「もしかして、立森由希ちゃん?」
「私の、事。知っているんですか?」
気が付いたら訪ねていた。
「えぇ。真希がよく話してくれた。」
そうなんだ。お姉ちゃんが…。
「姉は、私のことどういっていましたか?」
そんな私の問いにその人は、快く答えてくれた。
「自慢の妹、だって。大変なこともあるのに、いっつも頑張っていたって。そんな妹が誇らしく感じる、とも。」
「そう、だったんですね。教えてくれて、ありがとうございました。」
そういい終わった後、涙が出てきた。
「っ。」
姉が亡くなってから、泣くことは増えたり減ったりの繰り返しだった。3年が経った今は、周りのことでも姉のことでも泣く回数は驚くほどに減った。今年に入って泣いたのは、今日も含めると2回目だった。
その人は、そんな思いがひしひしと伝わってきたのかそっと抱きしめてくれた。


泣きまくって一段落着いた後、お互いに自己紹介をした。
「私、鈴音。鈴音って呼んでくれて構わないから。」
「はい!」
「あ、後敬語もいらないからね。」
「うん、じゃあ、鈴音ちゃんって呼んでいい?」
「もちろん!じゃあ、私もあなたのことは由希ちゃんって呼ぶね。」
「うん!」
この短期間で鈴音ちゃんとすごく仲良くなれた気がする。
「あ、真希のバースデーのこと、言ってなかったよね?」
「あ、うん。」
「ごめん、引き止めちゃって。やってきていいよ。」
「ありがとう~♡」


昨日と同じように手を合わせた。
〈お姉ちゃん、昨日ぶりだね。そして、お誕生日おめでとう。向こうでケーキとかじゃがバターとかお腹いっぱい食べれてる?もし、食べられているのなら今の気持ちを教えてほしいな。あ、やっぱり死後の楽しみとして取っておくね!あ、そうそうお姉ちゃんの友達かな?分からないけど鈴音ちゃんに会ったよ。美人さんだね。でも、お姉ちゃんもお姉ちゃんで美人さんだったけどね。鈴音ちゃんのおかげでお姉ちゃんから私に対する思いを知ることができた。ありがとう。嬉しかったよ。私も、お姉ちゃんは私にとって自慢だよ。さて、最後になるけれど体には気を付けて過ごしてね。ハッピーバースデー! 由希より〉




「よいっしょ。」
腰を上げて、立ち去ろうとしたときお父さんとお母さんがお花を持っていた。持っている花の種類は、姉が好きだった「ユリ」だ。もちろん、姉だけでなく我が家は皆「ユリ」が好き。
「由希。来ていたのね。」
私が何言っていいかわからず、戸惑っているとお母さんが先に口を開いた。
「うん。」
「もう、終わったの?」
「うん。」
「そう。」
姉のお墓参りになると口数が少なくなる母。
「あ、そうそう。鈴音ちゃん、ていう子が来ていたよ。挨拶、しといた。」
ほら、と見せようとしたが本人は見当たらなかった。そんな、鈴音ちゃんを探す私とは裏腹にお母さんの顔はみるみる青白くなり手が震えていた。
どう、したんだろう。何かあったのかな?


そのまま、両親は姉にバースデーなどの言葉を言い、終わった後は、3人で帰路に着いた。
帰り道、私は母の青白い顔や鈴音ちゃんのことがどうしても頭から離れなかった。家に帰っても、お風呂の時も、寝るまでの時も。ずっと。
青白い顔、何かあると思った。鈴音ちゃんには、秘密がある。その秘密は、私が突き止める。翌朝、聞いてみよう。




































翌日、朝起きて開口一番に私は言った。
「お母さん。鈴音ちゃん誰だか知っているの?」
「えっ、な、なに急に?大丈夫?」
「大丈夫。ほら、昨日鈴音ちゃんの名前を出した途端、顔が青白くなって手も震えていたでしょ?」
「あなたには、関係ないわ。」
はぐらかすように、言われた。
「関係ないってどういうこと?私ね、鈴音ちゃんとお姉ちゃんと私の間に何か関係があると思ってるよ。」
お母さんは、無言になった。でも、私は諦めなかった。答えるまで、続ける、と決めた。
「もしかしたら、私の仮説だけど鈴音ちゃんとお姉ちゃんと私の関係は、姉妹?」
これもまた、お母さんは無言になった。でも、目を少しだけ見開いた。
「答えてよっ!!!」
私の大声にひるんで、ようやく口を開いた。
「今のお母さんには何も言えないわ。でも、いずれいずれ話すから。それまで、辛抱して頂戴。」
「はっ?辛抱して頂戴?私は、今知りたいの。だから、お母さん答えてよ。」
私の声は、かすれているようだった。本当に、何、何なの!
お母さんは、唇をギュッと嚙み締めた。
その時、お父さんが「何事か!」と下に降りてきた。
「由理。どうしたんだ?」
「あなた。あの子に、話したほうがいいのかしら?」
ひそひそ声だったけど、十分私のほうまで丸聞こえだった。
「いや、まだはやいと思うが…。」
「でも、教えてくれ、の1点張りなのよ…?」
「そうか。」
「どうするの?」
「今日は、話さないで後日また言おう。」
「分かったわ。」
お母さんたちがこちらを向いて話した。
「今は、まだ言えない。でもね、ちゃんと、ちゃんと後日話すから!」
「もういい!」
私は、投げやりな言葉をぶつけて家を出ていった。




意味なんてなくトボトボ歩いていたらひとつの場所にたどり着いた。
公園だ。姉とよく遊んだ公園。懐かしい。
そうだ、スケッチしよう。秘密を聞いた後、「スケッチしよう」と思っていたのでスケッチ道具は持ってきていた。休日なのに、人一人いないからのびのびと使えた。


ブランコ。幼い私と姉が漕いでいる様子。
あの日は、晴れだったから太陽の光も表現した。久し振りのスケッチだったけど手はスイスイ進んだ。


それが書き終わって、適当に人を描いていたらある人を描いていた。それは、何故か鈴音ちゃんだった。昨日会ったばかりなのに、大人な姿しか知らないのに私の描いた絵は幼い鈴音ちゃんだった。手が、勝手に動いた。知らないはずなのに、私の脳はしっかりと「これは、幼い鈴音ちゃん」だと認識していた。心は、なぜ?という状態なのに。そこで確信した。私たち3人は、姉妹なんかじゃないのか、って。鈴音ちゃんは、名前だけ名乗り、苗字は名乗らなかった。まず、自己紹介は苗字も言うと思う。言わない人もいるかもしれないけど。それに、顔立ち。顔立ちがお姉ちゃんと私、お母さんにとても似ていた。目元とか、口元とか笑い方なんてお姉ちゃんにそっくりだった。パズルのようにピースが繋がれていった。カッチと全部おさまった時には、姉のお墓まで走っていた。走ったら、蕁麻疹が出てしまうかも知れない、けど今はそんなこと関係なかった。




姉のお墓についたとき、鈴音ちゃんはいた。
にっこり笑っていた。やっぱりそっくりだった。姉が笑う時の顔、私が大好きだったあの微笑み。全部そっくりだった。鈴音ちゃんに話そうとしたけど、鈴音ちゃんは止めた。
「ありがとう。」
そう、言った。
「えっ?」
急に言われてびっくりした。
「気が付いたんだね。」
これが、私たちの関係についてだということは、認識していた。
「うん。」
「そっか。お母さんたちは、話してくれた?」
「ううん。はぐらかすだけ。」
「じゃあ、代わりに私が話すね。」
「うん。お願いします。」
「2006年。由希が生まれた年。2004年は、真希の生誕年。そして、私は2002年に生まれた。全員2歳差だった。私は、生まれたとき元気だったし、鈴の音色のように優しく育って欲しい、という願いから鈴音と名づけられた。由希、あなたは覚えてないかもしれないけれど私は、あなたに会ったことがあるの。」
「えっ。」
記憶になかった。
「まぁ、最後にあったのは、由希が一番古い記憶だという3歳のあの時にはもういなかったからね。」
「どういうこと?」
「私は、あなたの1番古い記憶として保管される前に死んだ。」
それを言われたとき、鈴音ちゃんの記憶を少し思い出してきた。
「思い出した。私と、砂遊びしてくれた。」
「良かった。思い出してくれて。うん、それでね、私は拡張型心筋症で死んだ。」
拡張型心筋症と聞いてズンと重くなった。拡張型心筋症は、国の難病指定されている病気の一つ。拡張型心筋症は、心臓(特に左心室)の筋肉の収縮する能力が低下し、左心室が拡張してしまう病気。重い、重い病気だった。
「心臓移植が出来なくて、死んじゃったの?」
「うん。もうすぐ、ドナーが見つかって、心臓移植する前日に。」
私には、二人の姉がいた。なぜ、教えてくれなかったのだろう。
そんな思いが分かったのか鈴音お姉ちゃんが答えてくれた。
「多分ね、私を思い出してしまうからだと思うわ。辛い姿をあの2人に見せてしまったから。そのせいで、真希にも由希にも話せなかったのかもね。」
その言葉に、納得がいった。
「後ね、由希が声かけてきたとき、めっちゃくっちゃびっくりした。私、幽霊なのに見えてるだなんて。とっても驚いた。」
え、じゃあ私以外に鈴音お姉ちゃんは見えてなかったってこと?
「あ、そうそう。8歳で死んだ私だけど、ちゃんと成長して、今は18歳になったから。」
「そうなの!幽霊でも成長はするんだね。」
「ねっ!」
「それでね、15歳の時、真希がこっちにやってきたからびっくりした。覚えているか、って聞いてみたけど、やっぱりうっすらとしか覚えていないって答えてた。んで、最初っから自己紹介をして2人で死んだ経緯を話した。睡眠中に突然死するなんてそれのほうがびっくりした。真希がこっちに来てから、2人で由希たちを見守ってたの。8月31日の日、天国って現実世界との出入り自由だから、あの日、初めて真希のお墓参りしたんだよ。」
「初めて」どうりで。頻繁に顔出ししている私でも鈴音お姉ちゃんには会ったことすらなかった。
「そう、だったんだ。鈴音お姉ちゃん、」
「ん?ていうか、お姉ちゃんって呼んでくれて、ありがとう。嬉しい。」
「へへ。どういたしまして。それで、質問なんだけどお姉ちゃんは心臓の病気以外になんか抱えてた?」
「う〜ん。どうだろう?なかったかもな~。」
「そう、なんだ。いいなぁ。」
「ねぇ、由希。いいこと教えてあげる。」
「何?」
「アレルギー持っているから、コリン性蕁麻疹を持っているからなんて関係ない。たとえ、それに苦しんでいても、今目の前のことを考えて。看護師に、なりたいんでしょ?それは、自分で選んだ道。たとえ、嫌なことが会っても目標に向かって、歩きなさい。「自分の道は自分で歩む」これを忘れないで、過ごしてみて。青少年主張大会もそうでしょ?自分がやりたくてやったんだから。胸を張って。ね?」
「でも…。」
「自分に自信を持って!あなたには、人には出来ないことがちゃんとある!だから、諦めないで。そして、私達が生きられなかった分も生きて。苦しくなっても、周りにはいい人がいる。辛くなったら、ここにきて相談しても良い。あなたは、人に恵まれている!自分に自信をもって、由希。」
鈴音お姉ちゃんの言葉が胸に響いた。
「そうだよ、由希。」
また、別の声が聞こえた。
「真希お姉ちゃん!」
ギュッと2人に抱きつこうとしたけど、すり抜けてしまった。でも、2人は透けた手で私を触ることのできない私の体を触ってくれた。暖かさとかは何にも感じないはずなのに、暖かさを感じた。そして、心の中に立派でこれでもか、というほど青空が広がっていた。晴天で雲一つない。そのくらい、2人のお姉ちゃんからパワーをもらった。


お姉ちゃんたちに別れを言い、私は家に帰った。
ドアを開けると、お母さんたちが待ち構えていた。
「由希!どこ、行っていたのよ!」
「心配するだろうが。」
お母さんたちが次々に言葉を発するからこんがらがった。
「ご、ごめんなさい。」
「とりあえず、中入って。ゆっくり、話そう。」




「由希。黙っててごめんなさい。あなたには、真希以外に姉が、いたわ。」
「うん。知ってる。」
知ってるよ、もう。だって、知ってるといってもさっき知ったけど。
「え?」
「知ってる。鈴音お姉ちゃんに教えてもらった。」
「え?由希、鈴音はもう、死んでるわよ?」
「うん。それも、知ってる。」
母と父は、訳がわからない、という顔をしていた。
当たり前だ。私以外、見えてないのだから。気が付くと、真希お姉ちゃんも、鈴音お姉ちゃんもうちに来ていた。
「どういうこと?1から説明してもらっても良い?」
2人のお姉ちゃんのほうに向いて、〈良い?〉と心の中で聞くと、コクリ、とうなずいていた。


「分かった。あの日、8月の最終日に私は真希お姉ちゃんのお墓参りに来ていた。」
「うん。」
「そこで、鈴音お姉ちゃんと初めて出会った。その日が初めて。」
「…。」
「お母さんは、鈴音の名前を出すと顔が青白くなっていたから、何か関係があるんじゃないかと思っていた。で、今日の朝、喧嘩した。だから、公園でスケッチしていたとき、気が付くと幼い鈴音お姉ちゃんの絵をかいていた。その時だった。パズルのピースが繋がるかのように、私の中にある考えが浮かんだ。私たちは、姉妹なんじゃないのか、って。最初は、半信半疑だった。それで、気が付いたら真希お姉ちゃんのお墓の所にいた。そこで、また鈴音お姉ちゃんと再会した。で、お姉ちゃんたちに色々教えてもらった。鈴音お姉ちゃんが病気で死んだことも知った。全部、全部お母さんたちが隠していた事を教えてもらったんだ。これで、私の話は終わり。」
「ほとんど、全部ね。」
「あぁ。」
「教えて、くれてありがとう!」








夜。
お姉ちゃんたちに聞いてみた。
「お母さんたちに会ってどうだった?」
「元気そうで良かった。」
というのが真希お姉ちゃんの答え。
「2人に会えて良かった。」
と言ったのが鈴音お姉ちゃんだった。
「由希は、どうだった?」
私は、しばらく考えた。私の、答えは
「良かった。お姉ちゃんたちに、会えて。」
我ながら、前向きな言葉だった。それで、良い、とも思った。








寝る時、2人のお姉ちゃんたちに見守られて私は静かに眠った。


もうすぐだった。私が、運命の恋をする日はー。
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