それから死神は、永遠の別れを告げる。

 あの日から、わたしを取り巻く日常や周囲の人々、そしてわたし自身までが、まるで別人のようにすっかりと変わってしまった。大勢の人がその変化は良くないものだと言おうとも、わたしは信じたかった。

 君のおかげで変わることができたわたしは、間違いなく正しくて、過去の自分よりも少しだけ、前に踏み出せたのだと──。

 *

『近年、ますます少子高齢化が叫ばれる世の中に変化してしまっています。そこで日本政府は──…を研究し、……第一号目の、……──を放ち、若者の自殺がない……荒んだ心を癒してくれるような死神型ロボットの活用を、実際に開始する見込みとなりました。また、その死神型ロボットは───』


 若干うたたねしつつあったわたしの耳に、突然あり得ないニュースが飛び込んできて思わずソファーから身を起こす。

 それと同時、わたしの手がリモコンのスイッチを押してしまったようで、ピッ……という音を立ててテレビの画面が真っ暗になった。


「っわ、消えちゃった……!」

 続きを聞きたかっただけに焦ってしまったわたしは、あたふたとしながらテレビに向けてリモコンのスイッチを押す。

 だけど、次に映し出されたのは、どこかの動物園に新しくキリンの赤ちゃんが生まれたという嬉しいニュースで……。

「……はぁ~~」

 わたしは深い深いため息を吐いた。ニュースの続きを聞きたかっただけにうなだれる。

 スマホを手に取り、電源を付けてからラインのアイコンをタップする。トーク履歴のトップにある学年グループラインを開き、さっそく今さっきに聞いたニュースのことを打っていく。

 話の鱗片はある程度記憶しているから、文章があやふやになったりはしないだろう。


【みんな聞いて~! さっきニュースで流れてきたんだけどね、にほんせいふ?ってやつがこれまで死神型ロボットの研究を進めてるって前からニュースで言ってたじゃん?】

 長々とした長文にならないように、一旦そこで話を区切って送信ボタンを押す。すると瞬く間に付いていく既読の数々。そしてすぐに反応があった。
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