さまよう綸

第10話

 火傷が完治する頃、6月に入り正宗が以前より頻繁に本家に行くと言う。何かあったのかもしれないが、元々彼は高須組の話はほとんどしないし私も聞かない。二人でいる時の沈黙も嫌なものではないが彼は少し考え込んだあとに、一昨日から今夜で3晩連続、体を求めてくる。

 今もベッドの上で座る彼の聳え立つモノに下から突き上げられ揺らされている…っん…彼の首に回した腕で自分の子宮にかかる体重や刺激をセーブしようとするが容赦なく彼は私のいいところを狙い攻めたて…あぁ…ぃ…ん…私が達しそうになると動きを止め体位を変えてしまう…っはぁ…まさっ…むねっ…お願いっ…

「ん?っく…お願いっ?」

 何回目のやり取りだろう…苦しいっ…ぃき…たいっ…きてっ…んぁ…もう体に力が入らない。彼は私の右足を肩に乗せ深いところを刺激し始め大きな手では横になって揺れる乳房を緩急強弱をつけて揉みしだく…あぁ…ぁ…ぃっく…私が上り詰めた瞬間、彼は私の右内腿に噛みつき彼自身が私の中で大きく波打った。

 こうして噛み跡もいくつか付けるようになった正宗の頭を、いつも私がしてもらうように自分の胸に抱く。そしてまだ息の整いきらないまま声をかけた。

「…ねぇ…正宗…何が不安?大丈夫じゃなさそう…」
「悪い…」
「悪くはないよ、謝って欲しいのでもないけど…私こういう時にどうすればいいのか…でも話は聞けるよ?」

 自分の声が掠れていることに苦笑しつつ思う事を伝える。

「格好悪い…俺…綸に心配されてる…」
「それは格好悪いの?」
「ふっ…格好悪いだろ…だが俺は…綸のことを離せない」

 そう言って顔を上げ私と額を合わせた彼は

「高須に連れて行かないといけないが…綸が嫌な思いをするのがわかっている場所へ連れて行きたくない」

 葛藤を吐露した。なんだ…悩まなくても簡単なことだよ。

「いつ行けばいい?」
「…綸?」

 いつになく不安そうな声を出す正宗とコツンと音を立て額を合わせ直し

「よくわからないけど、正宗が悩むくらい…でも必ず行かなきゃならないんでしょ?行くよ」
「…何かしら嫌な思いをするぞ」
「正宗が思うより打たれ強いわよ、私」

 私が車から飛び降りた日に正宗が本家に連絡を入れてから、私の存在は知られており1ヶ月半ほど探している間も本家の人たちに協力してもらっていた。一度本家に連れて来いとずっと言われていたがのらりくらりとした返事しか返していなかった。しかし今回の火傷の件を国府組が高須組へ正式謝罪を入れた事で、遊びでなく組を名乗って守るくらいの女なら顔を見せろ…ということらしい。

 そして今、私たちが乗る車は高須の門へ滑らかに入って行く。
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