チョコレートは苦く溶ける


「え」


正直意外だった。


これはさっき包んでた一番形のいいものなのに、もしかして伊織に渡すのと間違えてるんじゃ…?


「だって今日、練習だし」


「え」


「本番はひとりで作るから!」


「大丈夫なのかよ…」


そんな俺の独り言は見事に無視され、莉子は用事があるらしくそそくさと出掛けていった。


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