真名子さんの名(字)活
何かその笑顔で物凄く気持ち悪くて、よぉし席移動すっかぁ、ホルモンの所に戻るかぁなんて思って席を立ったら花田健治が
「LINEとか交換しようよ」
とか、友達の輪が広がるかも的な言葉を私に言ってきてさ。確かにね?私だって名字を貰ってくれる殿方を探しに同窓会に出席した。この男が普通の容姿で普通の態度だったら、もしかしたら運命の赤い糸は、小森じゃなくて花田健治だったかなって思う。
でもなんだろな。
凄い怪しいのよ、この花田健治。
なんだろな、ときめきすっ飛ばして嫌悪感しか感情が湧かない。
むしろ頭の中の警報がウーウーサイレン鳴りっぱなしで、事件ですか?事故ですか?の電話に「どちらも!」と、答えたくなるそんな男。
返事に困っていたら、中学の時の一番のガキ大将の体格の良い川島君が、超絶コミュニケーションお化けで、一つ一つのテーブルに回って「久しぶり、元気だったか?」なんて皆に声をかけている。体格も笑顔もそのままで、私のことすら中学の時から、
「金太は面白いよな」
って廊下でお腹抱えて皆でゲラゲラ笑ったことあるもん。そんな川島君が私と花田健治の席のテーブルに回ってきて、
「お!金太と花田元気か?」
と、もうこれ何の天のお助けかと思ったよ。中学の時、川島君のことホンジャマカのまいう~の人に似てるって、裏でホルモンと言っててごめん。
どんなに優しくてもやっぱりガキ大将で少し乱暴だから、川島君にまいう~って言える男子も女子も居なかった。
そんな川島君が一言、
「花田はまだバンドやってんのか?」
って花田健治に声をかけてて、私もさっき職種は音楽とか聞いてたけどまさかバンドマン?って思って花田健治を見たら、汗だらだら流して
「い、いやだなぁ川島。この年でもうバンドしてないよぅ。今は普通にし、仕事してるよぅ」
なんか頭の中がスネ夫の声で変換されて、スネ夫ならパパのコネを使えるのに……と、なんだかうろたえるその姿を哀れみの目で見つめる。ていうか、本当に仕事してる?してないでしょと烏龍茶を一口飲む。川島君の登場にバツが悪くなったのか、花田健治が別のテーブルに移動していった。そしたら、
「金太、アイツ俺らの前ではあぁ言うけど、実力もねぇのにバンド組んでBIGになるとかこの年になってもほざいてんのな。んでとうとう、一緒に住んでた女が見捨てて花田が家から追い出されて、今寄生する場所探してんだよ」
どっひゃぁぁぁ!
もうどっひゃぁぁぁ!って本当に口から出る所だった。
いやむしろ言ったかもしれない。
ただ庇うわけではないが、実力が無くても夢追い人がビッグドリームを掴む話もあるわけで、外国の某オーディションだってそんな小さな可能性を見つけては、成功させてあげるシンデレラストーリーもあるわけで。
「じ、実力もないとは……。無いこともない……んじゃない?」
と、聞いたこともない花田健治の何処を所属しているかもわからない楽器をフォローしてみると、川島君がテーブルに乗っているオードブルの海老に手をつけて、まいう~の輝いた笑顔で私に言った。
「アイツ、楽器ひけないからマラカスとタンバリン持って隅っこで叩いてるレベルだぞ?」
「どっひゃぁぁぁ!」
今度はちゃんと
どっひゃぁぁぁ!言いました。
働け!!!花田健治!!!!
それカラオケの分類だからぁぁ!