真名子さんの名(字)活

「真名子リーダー、藤原ヨウさんベッドからまた転倒してます。」

「またかー!!!もう置けー!!センサーマットぼんぼん置けー!!!何処もかしこもトキの部屋の床一面に置いとけー!!」

「いや、駄目だろ。」



状況報告してきた本山ちゃんから冷静な突っ込みを頂いて、終わらない仕事とまた増えた仕事。
つうかトキよぅ、おめぇ何回転がってんだ?もう体育の授業?ってくらい転がってる。もうマットだった?この床マットだった?ってくらい転がってる。


 「怪我は?」

 「ありません。」


そうなんだーねぇんだヨウ。なんかさ、受け身?しちゃってんのかなぁ?もう90年くらい生きると自然と身に付いちゃうのかなぁ受け身。
ゴロゴロ、ドスン!ってもう身体の耐性わかってるのか怪我しねぇんだぁ。100人乗ってもだーいじょーぶ♪とかの強度な身体持ってんだぁ。


 「起こした?」

 「起こせないから真名子リーダーを呼んでるんです。」


そうなんだー起きれねぇんだヨウ。耐性も強度もあるのに、起きれねぇんだぁ。もう長方形のこんにゃくを直角に曲げて、手を離した瞬間、いや、むしろ手を支えてるそばからブルン!って元に戻るくらいの座位拒否。全身ぷるぷるになりながら拒否。んで、重いんだぁヨウ。もうね、ヘビー級。全然勝てない。ライト級のチャンピオンが挑んだ所でワンパン。


例えこの職種30年やってた所で技術だけで起こせるものじゃねぇんだ。80キロのぷるぷるこんにゃくを一人で直角に出来て、尚且つベッドに移す技はまだ国家試験に載ってねぇんだぁ。
もしかしたらね?80キロのぷるぷる人間ならね?YouTubeとか探せば起こす技術うPしてると思う。

こちとらぷるぷるこんにゃく。

重いものは重い。
力ない弱者は無理。
本山ちゃん、ガリ。
真名子、やりたくない。

あ、本音出ちゃった。でもさ、このフロアの職員けっっっ…こういる。なんなら暇をもて余した工藤が裏で煎餅食ってる。仕事しろ工藤。

 「真名子リーダーと起こしたいんです。」

まだ経験浅い本山ちゃんが私に要望している。
キラッキラした顔で私の顔を見て言っている。

ボリッボリッと煎餅食ってる工藤のBGMでいっちょやってやっかぁと席を立つ。



そう、私はある介護施設で働いてる真名子リーダー。
なんか、経営者ノッちゃったのかな?施設、でかい、他にも外部に系列の施設ある。
脂乗ってんねって思う程経営者儲かっちゃったのかな?

うちの施設、個別の部屋で台所付き。IHでちょっと料理も出来ちゃうよみたいな。トイレも車椅子入れる広さのウォシュレット付き。
家具や電化製品は持参してもらって自分で好きなマイルームを作っちゃお⭐みたいな方針の施設。

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