ハートからダブルハートに。

運命の出会い

　俺は、昔から “優しくて礼儀正しい男の子” を演じていた。両親が離婚し、母親に捨てられ、養成所で育てられた。そんな俺を愛してくれる存在など居ない。ずっとそう思っていた。

　だけど

　引っ越してきたあの日、運命の出会いがあった。

　「あっ、初めまして。相楽美奈です。隣に住んでます、よろしくお願いします」

　「……原田優太です」

　あ、運命の人だ、と感じた。

　その日から俺は美奈に恋に落ちた。

　「優太さん、おはようございます」

　「美奈さんおはようございます。今日も学校頑張ってください」

　「はい、頑張ってきます！」

　朝、俺は日光を浴びると同時に、美奈と話ができる。少ししか話せないが、それだけでも俺は胸が高鳴った。

　そして美奈が高校2年生のとき。クリスマスに告白をした。

　「美奈さんが好きです。僕で良ければ付き合ってください」

　「……はい！　お願いします」

　結果、成功した。その日の夜、俺は一人でベッドではしゃいでいた。けれど美奈は “優しくて礼儀正しい俺” のことを好きになってくれた。だから、素の俺を出すのが怖かった。

　「優太さん、おはようございます」

　「……美奈さん、あのさ」

　付き合って一週間。俺は美奈に全て打ち明けた。

　どんな反応が来るか怖かった。もしかしたら俺のことを嫌いになるかもしれない。けれど、運命の恋に嘘をついたままなのは嫌だった。

　「……なんだ、優太さんも完璧じゃなかったんだ」

　「……え」

　「大丈夫ですよ、優太さんは優しくて素敵な男の人なんだから。私はどんな優太さんでも愛してみせます」

　と言って、美奈はニッ、と笑った。そして俺は美奈を抱きしめてしまった。

　「え、優太さん……！？」

　「ごめん、俺、本当に美奈が好きだ。大好き」

　「……私も」

　顔が赤くなる美奈が本当に可愛くて仕方なかった。

　生まれて初めて、俺のことを愛してくれる人が現れた。

　美奈、本当にいつもありがとう。口では恥ずかしくて中々声に出せないけれど。

　俺達の恋は永遠に続く。